最も汚れが溜まっていそうな現役最古参の靴をと思ったが、傷みが酷い状態なので藪蛇にならないように、2番目に古い(と言っても2年3ヶ月程度)の33ERを洗うことにした。
このシリーズの靴は大雨に降られても水が浸入してくるでもなく、乾いたらシレッとしている頼もしい奴らなのだが、この33ERは購入後2年と少し経過して、中敷が部分的に黒くなっているところがあったり、甲革も2年分の汗(塩分)を吸収して汚れが溜まっていそうに思う。
また、洗うに際して、この靴のコバ、中敷より下部はすべて合成もので形成されているはずなので、シャンクやコルク等への水濡れによるダメージ気にしなくてよいだろうという理由とガラス革だから乾燥中にヒビ割れもしにくそうな気がすることもあり、この靴に白羽の矢を立てた。
洗う前の靴の状態
前回雨に降られて以来、ブラッシングと乾き拭きのみで、最終登板から2週間以上経過。
波打ったバンプ部分の皺も雨に降られた直後より若干落ち着いたように見える。
踵のライニングや敷革がだいぶ擦れてちょっとみすぼらしいがご勘弁を。
今回の丸洗いの手順
・馬毛ブラシでブラッシング(埃や汚れ落とし)
・42度のお湯で靴内部や表面、靴底を流す。
・42度のお湯をバケツに貯めて、一時間ほど靴を浸す
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一時間後 |
・お湯で入念に濯ぐ
・もう一度42度のお湯をバケツに貯めて、一時間ほど浸して取り出す。
2度目の浸け置きでもお湯が濁る。
この濁りは革の鞣し剤のようにも思うが、汚れなのだろうか。
ゴム底の靴だから染み出してくるものは少ないと予想していたが、いくらでも出てきそうな感じ。
汚れも塩分も洗剤成分も染み出したと思いたい。
お湯から出してさらに濯いだ所。
革は水分を含むと想像していた以上に柔らかくなった。
下手に乾燥させると型崩れしそうな危機感に襲われる。
ここから、気を使う乾燥に入る。
今回の乾燥の手順
・バケツから取り出したら水気をできるだけ切る。
・タオルで表面の水滴を吸い取り、内部にもタオルを押し付け少しでもタオルに水気を吸わせる。
・キッチンペーパーを靴内部に詰める
・水を吸った頃を見計らい、キッチンペーパーを入れ替える。
・2度入れ替えたら、シューツリーを入れて一晩放置
・翌朝、デリケートクリームを軽く塗る(内部も)
・時折、シューツリーを靴から取出して濡れたツリーを乾燥させる
・午後からベランダに置いて日光と自然の風によって乾燥を少し促進させる。
・二日目に少し多めにデリケートクリームを入れる
・シューツリーを入れたり出したりしながら乾燥を続ける
面倒くさがりなのと、型崩れが怖いので、途中からシューツリーを入れて保型を優先させた。
ゴム底なので靴底からは水分が飛んではくれない為、日陰干しは勿論、日光を靴内部に届くようにしてみたりこまごまと試行錯誤してみた。日光を少し入れればカビも繁殖しづらいだろうとの思いもある。
日光に直接あてるのは、革が乾き過ぎそうな気がしなくもなく、ちょっとびくびくしながら一時間程度の時間から試してみたが、冬の日差しということもあってか、或いはガラス革だから、心配したようなガサガサした状態にはならずに済んだ。
表面のツヤ感はすべて洗い流されてまさにスッピンの感じが出現。上の写真は二日目にデリケートクリームを多目に入れた所。
写真でもツヤ感の違いは判ると思うが、この靴を購入した時のマットな感じの表情に戻った印象。
表面の傷が目立って見える。
マットな感じにしたい時はデリケートクリームだけにすると良いかもしれない。
三日目の昼までツリーを出したり入れたり、日光浴をさせたり日陰に移したりを大掃除の傍ら気が付いた時に行って、甲から先の内部は少し湿り気が残る程度まで乾燥できた。
ここで時間切れで帰省することに。
大掃除の合間に他の靴も日光浴させてみた。
帰省で数日間留守にする為、ツリーを入れておくかどうかを少し悩んだが、靴内部も少し湿っている程度まで乾いてきていたのでツリーを入れていつもの乾燥場所に放置することにした。
帰省して靴の状態をチェックすると、ほぼ完全に乾いたようだ。
靴内部も湿り気は感じない。
ここからはデリケートクリームを入れてシュークリームを入れてといつものメンテの手順を進めていった。
クリーム類はいずれも少なめして、しっかり乾き拭きをした結果がこれ。
画像では洗う前と後での違いはあまりわからないかな。
うまく撮る腕がないのが残念。
丸洗い後の印象としては革の状態は良くなったように見える。
バンプ部分の皺も少し穏やかになったような気がする。
今回、丸洗いに挑戦してみたが、乾燥過程に時間と気配りが要求されるものの、丸洗いした後の革の状態は以前に比べて良さそうに見え、視覚的にも靴が美しく見えるように感じた。
ネットで色々な方が丸洗いを実施した記事を拝見して、自身でも実施してみたが、丸洗いすること自体は靴にとって良くないことばかりではないように思う。
革内部に溜まった塩分や泥汚れなどをいかに取り除くかは靴の寿命にも大きく影響しそうに思うので、丸洗い自体は今後も実施していこうと思う。
今回の靴は中物やシャンクが合成されたもので構成されている靴なので、靴内部への浸水の影響はしっかり乾燥したかどうかを考慮すれば良い程度と思うが、鉄製のシャンクを使用している靴だったら錆が気になるし、中物にコルクを使用している靴ならカビなども気になる所。
内部は見えないからどんな状態になっているか確認できないけれど、雨に降られてずぶ濡れになればコルクもシャンクも濡れるのだろうからあまり心配しないでも良いのかもしれない。
今後も丸洗いは実施していこうと思うが、その頻度はよくよく考えてみる必要がありそうだ。
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