2016年3月13日日曜日

靴のお手入れ 2016/3/12


今日のメンテは31ER①。
表面に積もったクリーム落としを主目的としたメンテ。



先日の31ER②のクリーム積もっている事件があって、手入れの度に光り過ぎると思っていたガラス革の靴達は、実は結果的に私がクリームを塗り重ねていたから光っていたということがわかった。
この靴も購入当初は31ER②と同じような勢いでクリームを入れたので、厚塗りになっているはずだから、積もっているかもしれないクリームを一度落としたいと思っていたことと、前回メンテより2ヶ月半経過し、登板もそれなりにしたのでタイミング的にもちょうど良く、メンテを実施した。
2ヶ月以上経過し、雨天の日をメインに7回登板したものの、ブラッシングと乾き拭きしていれば、わりと綺麗な状態に見える。(ブラッシングと乾き拭きでは消えない擦れ跡などもあるが)



この表面に積もっているかもしれないクリームをどのように落とそうか、少し考えた。

思いつく方法は3つ。

1、丸洗い
2、ステインリムーバー
3、タピールのレダーオイル

丸洗いは先日31ER②や33ERで実施して、洗い方に改善の余地はあれど、クリームを落とせることは経験済み。ステインリムーバーは以前メンテの度に使っていたからこれも落とせることはわかっている。
なので、今回はタピールのレダーオイルを使用して落としてみることにした。31ER②の丸洗いの時に残留クリーム除去に威力を発揮したので、全体のクリーム落としではどんな感じなのか試してみようと思う。

手入れの内容

・濡れた雑巾で全体をしっかり拭く
・タピールのレダーオイルでクリームを落としながら拭き取る
・濡れた雑巾で全体を軽く拭う(残留オイル拭き取り)
・リーガルシュークリーム黒をペネトレイトブラシで薄く塗り伸ばす
・5分程置いたら化繊ブラシでクリームを延ばし、飛ばす
・布キレで全体を擦り、余分なクリームを拭き取る。
・アッパーをグローブで磨く



タピールのレダーオイルは柑橘系の香りがする。瓶の中に入っている液体は放っておくと白い部分と透明な部分に分離する。使用前にはよく振って混ぜる必要がある。
混ぜた後に出てくる液体は黄色。触った感じはまさにアブラ。お手入れの時にこのオイルが結構手にもつくが、お手入れ後に石鹸で手を洗ってもオイルが付着した部分はしっとりというか滑らないというか、皮膚にオイルの名残を感じる。

このレダーオイルをコットンパフに少し染み込ませ、サッと塗ってしっかり拭き取る作業をパーツ毎に繰り返していく。



左足だけオイルでの拭き取り作業をした様子。右足と比較するとマットな状態になっている。クリームは落とせているようだ。


レダーオイルを塗って、素早くしっかり拭き取ろうと思うと結構大変だった。
やはり厚塗り気味だったようでパフはすぐに真っ黒けに。
次々に新しいパフを使用しながら全体のクリームを除去していく。
クリームが落とせたかはパフの汚れ具合を目安にして作業を進めた。

レダーオイルはステインリムーバーと違ってオイルだから革に悪そうな感じがしない所が良い。
油で油を溶かしてクリームを落としていくような、なんか不思議な使用感。
ただ、塗り過ぎるとオイルリッチになったり、柔らかくなりすぎるかもしれないから、油断せずにサッと塗って素早くしっかり拭き取りを心掛ける。
この靴のアッパーに使われているソフトステアは、加工革であることもあってか、塗布したものの革への浸透はわりとゆっくり目。ボカルーの浸透速度に比べればのんびりしたものなので、それ程気忙しく”塗ってー、拭き取る”という作業を繰り返すわけでもない。だが、靴全体に積もったクリームを拭き取るとなるとその作業量は結構なもの。
一度作業を行った後、残留クリームがないように、表面のザラザラ感が感じられないような箇所は部分的にもう一度作業を行って念を入れた。



大方のクリームを落とせたように思う。

この後、乾き拭きで残っているオイル分を拭き取り、更に軽く水拭きもして表面に残っているかもしれないオイル分を拭き取る。
オイル分が残っていると、ブラシも布も引っ掛かって作業しにくいし、その部分はクリーム塗っても光らなくなる(光りにくくなる)。コバに近い部分などは布が入りにくこともあって残りやすいから特に入念に行う。





クリーム入れて乾き拭きもして、靴紐も新品に替えて完成。
今回もシュークリームは片足で一粒弱。
意識的に少なくして、薄く塗ることを心掛けた。
クリーム入れる前のレダーオイル処理だけの状態から、
表面のザラザラ感はそのままに、クリームによって黒の色味とツヤが若干増したような仕上がりになった。

手入れ前と手入れ後の画像比較

手入れ前


手入れ後
今回のメンテの主目的の積もったクリーム落としは成功したように思う。
光りの反射面積が広がってツヤ感が落ちたことがよくわかる。
こんな感じがこの靴本来の姿なのだろうけど、艶々ピカピカした状態を見慣れてしまっているから私としては新鮮で、好印象。
ふつうお手入れというと靴を光らせるものと思うが、真逆をやっている。なんか滑稽だな(笑)


こういう仕上げをきっと素材感を活かした仕上げというのだろう。
クリーム積もっている事件以降、こういう仕上げにしたいという思いが強まった。
元々、艶々の仕上げより鈍く光る方が好みな私なので、こういう仕上げが好みだし、クリームが積もるようなことも今までよりは少なそうで精神的にも良い。
Shoe*さんのお手入れの記述を見てもクリームを薄塗りされているようだし、靴の手入れ経験が豊富な人達は沢山塗ることのリスクをよく承知されているのだろう。その経験から導き出されたお手入れ方法は理屈はともかく、数多くの経験に裏打ちされていることは確か。
そう頭ではわかっていながらも、自分自身の身に沁みないと心に響かない、目にしても耳にしても本当の意味を理解できない。だから、クリームが積もっていても平気で塗り重ねていたのだろうと思う。
革靴もお手入れも初心者の私は、手入れというとクリーム入れることと思っている所があって、ガラス革は光ってしまうなら仕方ないと思っていた。だが、光らせ過ぎないお手入れ方法を見つけることができたからこれからはこの方法でお手入れしていこうと思う。
コットンパフを少し大目に買い込んでおかないとなぁ。


さて、この31ER。購入後1年4ヶ月を経過。雨の日のスタメンなのだが、今回のお手入れでシューツリーを外したら、左足つま先部分が広く湿っていた。オイルを塗り過ぎて内部まで浸透したのかと思い靴内を覗いてみるとインソールの色も変わっていて、油ではなく水で湿っているようだ。内部からキャップ部分を触ってみるとこちらも湿っている。いよいよ、耐雨性能に陰りが見え始めたのかも知れない。

今週は何日か雨があったので、この31ERシリーズの靴達の登板が多かった。
31ER①と31ER②を間違えて履いた(家を出てから気付いた)ことが原因で今週はこの31ER①は2回も登板した。
2回の登板のうち、一日は結構降られたからその時に雨が靴内に侵入していたのだろうか。私自身は靴下が濡れることもなく、気付いていなかった。今後この靴の雨の日登板の後は、浸水があるか注意してみようと思う。
また、数日の雨と私のケアレスミスで、思いがけずも31ER①と31ER②と連日履くことになり、足馴染み度が違う同じ靴での装着感の違いを実感することができた。

31ER①はすっかり足に馴染んで、羽根は閉じきり。二の甲とボールジョイント(足幅)で足を押さえて履いている感じでとても履き易い靴。ここ2週間くらいで左足の甲が若干緩く感じるようになってきた。私の足に対して甲の造りが高いのか、中物が沈み過ぎるのか、履き馴染んだと思った後も中物は少しづつ沈み続けるようだ。フッドベッドは他の靴ではあり得ない程深く形成されているというのに。
靴紐で甲をキツく縛り上げられるうちは、キツく縛った時の甲へ圧力が足裏にも伝わって中物の沈みがより進行するのもわかるのだが、フットベッドもできて、羽根閉じきりで靴紐をあまりキツくは縛れないような状態では、中底の沈みはあまり進まないだろうと勝手に思っていただけにちょっと意外。この中底はどこまで沈むのだろうか。

先日この靴の純正靴紐をリーガルシューズで頼んだ時に聞いたのだが、中物の沈み込みが大きい、或いは大きすぎるという声は結構多かったらしく、沈み込みに対する強度を増した中物の改良版が用意されているそうだ。オールソールするときには中物も替えらえるだろうから、替えたらどんな履き心地と沈み込み具合なのか今から少し楽しみ。甲の締め付け具合は多少でも調節できる方が便利だろうし。

一方の31ER②は購入後5ヶ月が経過したが、丸洗いしていたりで、実質4ヶ月程度。洗う前は履き馴染みが進んだと思っていたが、洗った後に履くと履き馴染みが後退した感じ。ボールジョイント周りを中心にタイトな感じに戻った。甲も中物の沈み込みが戻ったのか羽根が数ミリ開く。そして、31ER①ともっもと大きな違いを感じたのはウエストと踵周り。今までの私の印象ではこのシリーズの踵周りは緩めで、ウエストにはさして印象がない感じだったのだが、31ER②の履き心地に意識を集中してみると、踵周りはある程度フィット感を感じ、ウエスト周りもそっとだがフィットしている感があった。まだ、革自体の固さというか、強度が残っていてそう感じたのだろうか。丸洗いして少し小さくなったのだろうか。

きっと31ER①も履きおろした時から暫くの間ははこんな履き心地だったのだろう。この新旧2足の履き心地の違いから、足馴染みが進むということは靴が多少なりとも大きくなることのように思え、デリケートクリームとか乳化性クリームを頻繁に入れていると、大きくなることや、型崩れを促進させる一面もあるのではないかと思い至った。ますます、メンテの時に入れるクリームの量は少なくしようという思いを強くした。

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