2016年3月7日月曜日

REGAL 01DRCD


リーガルの数多くある商品の中でも高価格帯に属する(と思う)この靴。

私が愛読しているブログShoe*さんの01DRCDの記事で存在を知り、それ後随分経ってから入手した。

購入は2015年の4月。まともな靴を揃えようと革底の靴を揃え始めて2足目の靴。



形状的にも作り的にも尖ったものではなく、ビジネスの場で目立つことのない、ごく普通の靴を欲しいと思っていた私には真ん中(価格)高めのストライクの靴のように思えた。高めだけにうまく当てれば長打が期待できるが、ボール球だと空振りするリスクが高い。高めのボール球かストライクか見極めが必要に思えたが、靴の素養を持ち合わせていない私にそんな選球眼はあるはずもなく、じっくり時間をかけて自分なりに慎重に考えて購入した。
靴に造詣の深いShoe*さんもイチオシされいるし、その後の経過レポ水洗いの記事でも良い情報はあっても悪い点はあまり見つからない。他のネットでの評判なども悪いものは少なく、リーガルシューズのみならず百貨店や一般の靴屋でも取扱いがあることから一般的に広く受け入れられている靴に思えたことも信頼感と安心感を助長した。
取り扱い店が多いことで色々な販売員の方の意見を聞くことができ、靴へのアクセスも容易で試し履きの機会を労せず何度も作れたので、じっくりと考え、感じ、納得して購入することができた。取り扱っている販売店が多いことはこの靴の強みの一つだと思う。

私が購入したのは2015年だが、この靴は2013年SSモデルとしてリリースされ、2016年3月現在も継続して販売されている。
ストレートチップの01DRCDの他に、クォーターブローグの02DRCD、フルブローグの03DRCDがある。どのデザインもオーソドックスなデザインで普通が好みな私にはとても好感が持てる。このシリーズに最も基本的なデザインと言われるプレーントウもあったら言うことないのだが、残念ながらラインナップされていない。(※2017SSモデルで04MRCFとしてリリースされました。)

もう発売から3年も経過しているからデザイン追加の可能性はないのだろうとあきらめていたが、2016SSモデルで02、03DRに今シーズン限定でベージュカラーが追加された。
リーガルは最近外す方向の提案商品が多いように感じている(目に付きやすいだけかも)が、このシリーズでも外しの提案をしてきた。この提案自体はお洒落のイロハも知らない私にはあまり興味のない提案なのだが、甲革の素材と色を変えた商品を追加してきたことに大いに興味をそそられた。
どのようなマーケティングをし、どのような商品戦略があり、どれだけの販売数量予測を立てているのか知る由もないが、今回の新提案(新色追加)にこのシリーズを選ぶにあたっては、このシリーズの販売数量がある程度のレベルにあることが前提になっているはず。デザインが受け入れられて、ある程度売れているモデルでなければベージュのスムースレザーを追加した所で販売数が伸びる要素はあまり見いだせない(私が思いつかないだけかも)し、ブランド戦略として採算度外視の、ビジネスシーンでベージュはいかが?的な提案をするためだけを目的としたリリースだとしても、ビジネスの場である程度受け入れらているモデルでなければ、提案自体が成立しない。

リーガルを扱っているデパートや百貨店に行けば結構高い確率で取扱いがあるこのシリーズ。ある程度の販売数量で推移していると思われるこのシリーズで、もしプレーントウを追加したら、販売店側にとっても商品数の薄いこの価格帯のプレーントウを揃えられるし、プレーントウ狙いの客層の単価アップにも活用できるだろうから、面取り商談の難易度は低そうに思ってしまう。現取扱い店に高い確率で導入できれば、販売数もストレートチップには及ばないにしろ、最近のプレーントウ復権傾向も追い風になって、相当な数を見込めそう。紙型を新たに起こさねばならないが、販売数量からすればコストペイどころか結構稼げるはずと思ってしまうが甘いかな。ド定番の2235とか2304とかとかぶる要素があるから出さないのだろうか。あるいは素材の確保が困難なのか。
無責任な外野から好きなことを喚いているが、一度本腰を入れて検討してもらいたいと心底思っている。



少しロングな、ラウンドというよりもアーモンド寄りな感じに見えるトウ。
ロングな靴で一度失敗した反動からか、長くない普通の靴が好みな私。この靴は購入するまではトウが丸くなっているせいか、長い靴を見慣れているせいか、全く長いとは感じていなかったのだが、靴屋でロングノーズに見える靴を試し履きした際に、脱いだこの靴を横に並べて長さを比較してみて、それ程長さが違わないことを何度か目の当たりにしてから、この靴がややロングな靴であることを理解した。(03DRは何故かロングに見える)
自分で履きながらこの靴を見たときの印象では、ちょうど良い長さと丸さで、形的にも穏やかで普通の靴に見える。ウエルトの処理や甲革、縫製などから少し上品さも醸し出していて、目立たないけど落ち着きがあるように思う。
実際に自分で履いている姿を鏡などを見た時に感じるのは、バランスが良く見えること。自分の身長やスラックスの裾幅なども関係しているのだろうが、長すぎず、短すぎず、尖ってもなく、細くもなく、ボテっともしていない。ごく普通でやや上品な印象。(気に入っているからそう見えているだけかも)
ショートノーズと言われる靴はまだ持っていないけれど、私の場合、この靴のように少し長いかな程度の靴がスーツと合わせた時のバランスが良さげ。ロングな靴は足が異様に大きく見えて主張しすぎるように感じるし、この靴よりショートな靴だときっと足が小さく見えて、座りが悪そうに見えそうな気がしている。



アッパー側のウエルトの縫い糸は隠れている。ブラインドステッチというのとも少し違うみたいだが、糸が見えないようになっていることで上品な印象を私は受ける。縫い糸が見えていて、特に目付されていない場合は、無骨な雰囲気を感じることもあるが、縫い目が隠れて細かく目付してあると何故か綺麗で繊細に見える。



コバは矢筈(ヤハズ)コバ。公式通販でもこのヤハズコバを訴求している。コバの形状と処理が靴全体の印象に与える影響は大きいと最近気づいたのだが、このヤハズコバとブラインドステッチのような目付処理が、もともとコバ(ソール)が薄いことも手伝って、グッドイヤーウエルトのゴツさ無骨さを感じさせず、この靴の印象を繊細よりなものにするのに一役買っていると思う。こういう雰囲気の靴はビジネスでも、冠婚葬祭でも気兼ねなく使えて汎用性が高いと思う。



甲革はアノネイ社のベガノカーフ。底革は不明、ヒールは革積み上げでヒールトップは全面ゴム。
2016年3月現在、甲革は表記が牛革とされているので、現在も同じベガノカーフが使用されているかはわからない。リーガルによれば牛革へと表記を簡略化して以降、使用素材を変更したモデルはないという。追加されたベージュについては、リーガルHPのブランドページの特集の中でアノネイ社のキップを使用しているとの記述がある。革靴初心者の私には、実際の甲革を見ても違いなどあまりわからいから、甲革はこういうものを使っていますという情報があった方がありがたい。タンナー名や革の名称がわかれば、質感や履き心地、耐久性などの情報を集められることも多いし、足馴染みや馴染んできたときの履き心地、雰囲気を推測、想像する一助になる。他メーカーや他の靴で同じ革が使われていれば、どの価格帯に使われているかで判断材料の一つになるし、他にも使われていること自体で革への評価と信頼性の目安になる。是非、以前のように甲革の情報をもう少し公開してもらいたいものだ。

ベガノカーフは肌理が細かく、表面で光っているというより奥の方から光るような光り方をする。私はあまりキラキラ光っているよりも鈍く光っているくらいが好み。ベガノカーフはそんな私の好みにもあっていると今は思う。購入検討時に店頭に置いてあったこのシリーズの靴は、乾いているように見えるものや、くすんだ印象を受けるものを少なからず見かけた。Shoe*さんのブログを見ていなかったら、『デザインは良さそう、甲革も外国製で売りの一つのようだけど私にはわからんなぁ』と思っていたかもしれない。試し履きで新たに箱から出されてくる靴は、当然だがきれいなものが多かった。
銀付き革の扱いも経験が浅く、良く知らない私だが、クレム1925を使って手入れを続けて、今までのところは綺麗な状態を保てているように思う。先に購入したインバネスのボカルーカーフと比べると、手入れ時に色落ちが少ないのでそれ程神経質にならずにお手入れできるところが良い。また、ボカルーはクリーム塗って磨いてもうまく光らない時があるが(私が下手なだけかも)、このベガノカーフはいつも綺麗に光ってくれる。鈍く光るという部分では若干だがボカルーの方がより深みがある感じで、ベガノはボカルーよりも若干艶やかな印象がある。

アニリンカーフは水に弱いものとされているようで、このベガノカーフもそのアニリンカーフらしい。水滴が表面に落ちた後、すぐに拭き取らないで自然乾燥に任せると白く跡が残る。同じアニリンカーフのボカルーカーフは、ブラッシングと乾き拭きで水滴の落ちた跡が少し目立たなくはなるがわかりやすく跡が残り、ベガノカーフはよく見るとここに水滴が落ちたのね、とわかる程度に目立たなくなる。ベガノカーフの方がブラッシングと乾き拭きで目立たなくしやすい。また、ベガノは半年過ぎたあたりから、白い跡が残りにくくなってきたように感じている。クリームが浸透して水分をガードしてくれているのか、雨沁み耐性が多少良くなってきたのかもしれない。
ベガノは、ボカルーより皺の入り方が多少穏やかで、革の固さも少し柔らかい感じがする(気のせいかも)。ボカルーは結構深い皺が入っていつまでもキツく深い感じのままだが、ベガノの皺の入り方はボカルー程深くはない印象。ラストが違うから深い皺が入っていないのかもしれないけれど、インバネスの方が全体的にタイトだから概ねそんな傾向にあるように今は思っている。ベガノの皺がどう変化するかはもう少し履き込みが必要。


私の足は右足の方が大きいことは確かなようだが、サイズは両足とも図る度に異なるので実際の正確なサイズはまだ把握できていない。この01DRを試し履きしていた時は、右足は25.5でタイトだけど丁度よさそうなフィット感で、小さい左足はやはりタイトだが25.0が丁度良さそうで25.5だと右足のタイト感と比べると少し緩めだった。仕事帰りや休日の午前中、午後、夕方など色々な時間帯に試してみたが結果は一緒だった。小さい左足に合わせて買うことも考えたのだが、この時期はタイトなインバネスでかなり苦しい思いをしていたので、大きい右足に合わせることにした。

履き始めは右足のボールジョイント付近の足幅が少しタイト目だった。25.5の2Eの靴だと大抵右足の幅が少しキツイと感じるので、この靴の足幅は標準的な2Eに近いと思う(少し狭めか)。インバネスの幅と比べたら随分楽に感じる幅でボールガースもインバネスよりある感じ。W10BDJよりは気持ち狭く、31ERは似たような幅。ボールガースの高さはインバネスより少し高く、W10BDJよりは低く、31ERより若干低い感じ。親指の付け根は別として、他の指の付け根と甲革にはやや隙間がある。
一の甲と二の甲の間、バンプからレースステイの下部付近はややゆったり。二の甲は少し低めで三の甲は普通かな。紐を少しきつめに締めると二の甲の出っ張った骨がよく痛くなる。二の甲部分を少し緩めの締め方にしても三の甲部分の紐をきっちり結ぶとやはり出っ張った骨が痛くなる。
三の甲は少し高めかもと思わないでもないが、履き口周りが大き目なせいでそう感じるのかもしれれない。

私の甲は高いのか低いのか自分ではよくわかっていないのだが、私にとっては、二の甲、三の甲がよくフィットして一の甲と指先の高さはゆとりがある。指先は横方向も自由度が大きく、履いていてとても楽。ウエストは良く絞られているが、土踏まずのアーチが高い私の踏まずに触れるようなことはない。踏まず部分の足裏にあたることはないが、ウエスト部分で足を両側から程よく押さえていていくれるような感じはある。
踵は左右で高さに違いを持たせてフィッティングをよくしているそうだが、そのおかげか、インバネスでは相当苦しんだ踝にこの靴ではまったく苦痛がない。インバネスでは踝を履き口が下から押し上げるような痛みとは違って、履き口が踝下部の骨を締め付ける(外側から常に圧迫されている)ような痛みで苦しんでいたのだが、この靴は履き口が当たらず、当時の私にはとてもポイントが高かった。
外側の踝部分の履き口は低くしてある代わりに、内側の踝部分は高さが結構あるように感じる。インバネスやブリストルより高く、31ERと同じくらいか。
ウエストの絞りと相まって、踵内側が高いことにより足が内側へ少し傾いた時のサポート感は高い。
踵の大きさ自体はリーガルの中では小さい方なのではないだろうか(リーガルの靴もいくつかしか知らないが)。インバネスよりはやや大き目だが、W10BDJや31ERと比較すると小さい作りになっている。ただ、下の画像でわかると思うが、踵の履き口付近の絞り込みがあまりなく、踵に食いつくような感覚は乏しい。ここが絞られていないことで一番上の鳩目の紐をきっちり締めても履き口で足を抑える感覚はあまり得られず、三の甲が緩めに感じる一因になっているように思う。
だが、食いつき感はあまりないものの履いていて楽に感じていることも確か。食いつきを感じないと言っても踵がついてこないわけではなく、履き口より少し下から踵裏付近まではフィット感があるので、緩いという感じでもない。
最近購入したブリストル(外羽根だが)は踵の上部が絞られていて踵の食いつき感がとても強いが、私の踵の形状よりカーブかキツイ(特に踵の真後ろ)ようで少し痛みがある。
履き馴染んだらどうなるかという問題があるものの、踵の履き心地という観点でみると、一概に踵に食いつき感があるから良いというものでもないのかなとも思う。
01DRのようにあまり食いつきを感じなくても、不快を感じず快適に思う靴もあれば、3085SFのように食いつき感はすごいものの、痛みを伴う靴もあり、3029SFのように最初は痛みを伴ったが、履き馴染んだ今は緩さを感じさせずに快適に感じる靴もある。
最初はやや小さ目、キツ目で、履き馴染むうちに足型に沿って少し大きくなり丁度良くフィットするというアプローチと、最初からそれ程フィット感は高くないが、実用上問題なくその後もそれほど変化せずに経過していくというアプローチがあるのかも知れない。




靴の見た目、雰囲気、造り、革質、履き心地、お手入れ難度、どれをとっても私は不満を感じないしほぼ満足している。
あまりお洒落でない私には、スーツ(フォーマル含め)を着るシチュエーションではこの靴を履いていればまず間違いはないだろうという信頼感と安心感があるし(マイナスの印象を与えないという意味で)、履きおろしの時は靴擦れができたけれど、足馴染みが進んできた今は緩くもなく程よいフィット感で足への負担は少なく、あまり履いていることを意識させないところも良い。この靴を購入して一ヶ月でこの靴の雰囲気と履き心地をとても気に入って、02DRCDと03DRCDを買い足した。もう、ビジネス用の靴はこのシリーズだけで揃えても良いと思える程気に入っている(プレーントウがあったら本当にそうしたかもしれない)。価格設定がサラリーマンにとって割と手に届きやすい価格帯であることも追加購入に拍車を掛けた。
他にも色々欲しいと思う靴はあるけれど、これだけコストパフォーマンスと(足との相性も含めた)満足度の高い靴にどれだけ出会えるかと考えると、もっと良い靴があるはずだと思う一方、滅多にお目に掛かれないだろうと考えてしまう自分がいる。
懐に余裕ができれば買い足したいとも思うし、プレーントウが発売されたら間違いなく買う。買い足すタイミングが5年後、10年後になっても、引き続き販売していてくれたらいいのにな。

もっというと、これは今の私の小さな夢なのだが、20年近く後に息子が革靴を履くようになる時に、この靴3足を激励と餞に送ってやりたいと思っている。私は靴に意識が行くのが遅かったから、その世界の存在をまだ若いうちに教えてやりたいのだ。その時にこの靴が販売されていたら、これほど嬉しいことはない。


2 件のコメント:

  1. 01DRCDっていい靴ですよね。
    シンプルで飽きのこないデザインで、価格も含めてバランスが良い靴。細かいところを見ればより高い靴に負けるところはあるのでしょうけれど、ふだん使いとしては傑作のひとつと思っています。

    父親からの靴のプレゼント、素敵ですね。
    私も息子がいたらきっと成人式の日に靴をプレゼントするだろうなと思います。

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    1. ShoeAsteriskさん、コメントありがとうございます。

      01DRCD、あまり革靴を知らない私ですが、本当にいい靴だと感じています。良い靴を教えて頂いてありがとうございます。
      Shoe*さんお勧めの靴は(足に合えば)本当に間違いがありませんね。

      購入当初は履いている時にに妙な気負いがありましたが、いまは慣れ親しんでごく普通に履けているように思います。
      ふと気づいたのですが、いつの間にかこの靴が私の中で革靴の基準となってしまいました。真ん中高めが、ど真ん中のストライクになりました。


      息子に靴を贈ったしばらく後、靴に纏わる話題を肴に酒を酌み交わせたら、なんて妄想しています。

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