2018年10月7日日曜日

履きおろし準備 ~室内履き~


台風の襲来が多く中々履きおろしのタイミングを掴めないでいる2235NA①。
今週末も台風で見送りかと思ったら、どうやら雨は降らないようなのでいよいよ履きおろしてみようと思っている。


室内履きで甲をギチギチに締め上げていたので紐がボロボロ。
履きおろし前にもう一度クリーム入れようかとも思ったけれど、触った感触はしなやかに感じるので、紐だけ換えて履き下ろすことにした。

この靴は最初の足入れから室内履きでの変化を時折記録してみた。
タイト加減とか底の沈み具合は見た目ではわかりにくいので、視覚でわかり易そうな羽根の開き具合で記録した。
室内履きをどのようにしているのかという匿名の質問も以前頂いていたので、私のやっている室内履きも合わせて紹介しようと思う。
履き下ろしたばかりの靴が痛くて仕事に支障を来したという経験のある人にはある程度参考になるかもしれない。



室内履き初日。紐をギチギチに締め上げた状態。結構羽根の開きが大きい印象。
何に比べて開いていると感じているかというとこれ。


半年以上履いている2236NA。
こちらはそれほどギチギチに締め上げてはいない状態で、開き具合がこの程度。
ギチギチに締めるともう閉じ切りそうな状態。
この靴の羽根の具合と比べると随分開いているかと。

最初に足入れした時、大きい右足のタイト感が強かった。
右足のジョイント幅、指先の幅、踝。そして左右ともにタンが足首に食い込む感じ。
時間があるとき、気が向いた時に履いて少しづつ足に馴染ませていく、終日履いていても大丈夫と思える程度に馴染むまで。
最初は屈曲はさせない。ただ履いてタイトな箇所が足に馴染むように左右の足に体重をかけるだけ。
座っている時、立った時、歩く時、走る時、それぞれの場合で足に掛かる荷重は変化するので足の大きさはすべての場合で変化する。座っている時や歩行時走行時に足が地に着いていない状態が足の最小のサイズ、走る時に蹴り出す瞬間の状態が足の最大サイズに近いのだろうと思っている。
なので、まずは立って屈曲させないようにしながら主にジョイント部分、各指の付け根の中底を沈ませ、ジョイント部分の革を少しづつ伸ばすことをイメージ。
足から出る湿気を靴が吸い始めると靴が温まり始め、少しづつ柔軟性を増してくる。
靴が温まり始めると徐々にタイト感が緩和してくるので、ここら辺から体重を右足、左足と片足づつに掛けて、足を徐々に大きな状態にして、靴の馴染みを進ませていく。革も徐々に伸び、中底も少しづつ少しづつ沈み、足は少し小さくなるような印象がある。



タイトな靴を履いていると発汗量が普段より多く、革が湿気易くなることと、タイトな箇所には革が引き伸ばされる方向の負荷が掛かるので、馴染みは進みやすくなるようだ。
靴内の湿気が高くなったと感じるまで履いてから再び甲を締め上げると一段と締められることが多い。



靴が温まるとタイト感が緩和されてくるものの、数十分から一時間程度履いてから脱ぎ、翌日又は数日後に履くと、また初日と変わらない位のタイト感に戻っている。
また一から馴染ませることになるのかと思うと気が重くなるが、二日目は足入れしてからタイト感が緩和されるまでの時間が初日よりも短いことに気付くはず。三日目、四日目と回数を重ねるうちにその時間は徐々に短くなっていき、足入れした時のタイト感も徐々に薄れてくる。
足入れしてタイト感が薄れたら更に甲を締め上げるという作業は羽根の閉じ具合が違和感のない程度になったら止めて、それ以降は他のタイト感のある場所の馴染ませに集中する。
羽根とウエスト部分の革は屈曲させたときにも伸ばすことになるから、最初からあまり伸ばし過ぎると閉じ切りを早めることになりかねない。



足入れしてタイト感が緩和されるまでの時間が10分もかからないようになってきたら、少しづつ足に馴染んできていると感じられることだろう。ある程度馴染みを感じ始めた時点で今度は徐々に屈曲させる。いきなり目一杯曲げても差し支えないと思うが、少しづつ曲げた方が革を徐々に伸ばし、曲げることになるので革への負荷が少なそうに思うので、少しづつ屈曲度を大きくしていくようにしている。
足入れの最初から曲げないのは、足入れの最初は靴が足に合っていないと思うから。屈曲させずにある程度馴染ませてから曲げた方が、足にあった皺の入り方になり、靴への負担が減るのではないかと思っている。
このように少しづつ曲げて完全に曲げるとこまでやり、最後はキャッチャー座り、または蹲踞。踵や履き口、タンなども今までは影響なかった部分にも痛みが走ったりする。
この屈曲後からは馴染ませる箇所が色々増えることが多い。

屈曲させ始めると、最初はソールが曲がりにくいので甲の羽根付近で踵を引っ張り上げることになる(踵をガッチリ食う靴なら違うかも)。この作業でウエスト部分の革に縦方向の負荷が随分掛かる。甲を絞り上げるのを一定の時点でやめたのはこの工程があるから。
蹲踞するまで屈曲させた後、靴を脱いで靴紐締めてぐにゃり曲げ。足に合った皺と曲がり癖がつき始めたはずなので、両手でつま先が甲に付くくらいまで力いっぱい曲げる。この靴はダブルソールなのでぐにゃり曲げに必要な力も相当なもの。ソール先端を持つ右手はいつも真っ赤になりかなり痛い。
最初はぐにゃりと曲げるのに相当な力が要るが2度目以降はそれほどでもない。何度か曲げてソールの返りが良くなったと思ったらシューツリーを入れて靴の形を整える。

次回以降の足入れ後に屈曲がスムーズになったと感じることだろう。ぐにゃり曲げで見るも無残な形になった靴はツリーを一晩入れておけば、元の形に戻り、皺も目立たなくなっている。
皺が気になるようならデリケートクリームを塗っておいてもよいかも知れない。

この後は、ジョイント部分の馴染ませに加え、ソールの返りを付けること、踵や踝など他に痛みやタイト感がある場所を馴染ませることもイメージする。
ジョイント部分の馴染ませは足が最大化したときにも痛みがないように、ケンケンするように片足で跳んだり、腿上げをする。ソールの返りをよくして、屈曲時の羽根や履き口付近を馴染ませるために蹲踞やスクワットを繰り返す。屈曲時に踵のアタリが強いようなら踵のアタリが強いと感じる屈曲動作を繰り返す。踝が当たるなら、踝付近の履き口にクリーム入れて手で揉みほぐす。
この作業も3回、4回と繰り返していると不思議と痛みやタイト感は緩和されてくる。
ある程度痛みやタイト感が薄れたらいよいよ履きおろし準備完了となる。


現在の羽根の開き具合はこんな感じ。
最初の時と比べると閉じてきているのは見て取れる。

ちなみに中底の沈み具合は



やはり画像ではわかりにくい。
手で触ってフッドベッドができてきているのがわかる程度に沈んでいる。


このように私が”室内履き”と呼んでいる作業は、普通なら新しい靴を苦しい思いをしながら馴染ませていく作業を予め部屋の中である程度までやってしまうという作業。
家にいる間なら好きな時に作業を始め、紐を緩めたり締め上げたり、止めたりすることが思いのままにできる。仕事に影響することもない。
仕事をしていたら脱ぐことも難しく、しんどい思いを一日中しなければならない。
そういう点をかなり回避できるので、私はある程度室内履きをしてから履き下ろしている。
ただし、長時間履いてから初めて生じる痛みなどには短時間しか履いていない室内履きでは対処は難しい。室内履きですべての苦痛を排除できるわけではないけれども、多くの苦痛を排除できることが多い。


毛羽立ちの激しい紐。
履きおろし前のメンテ終了時に真新しい紐を装着したけれど、次の靴は履きおろしまでは使い古しの紐で室内履きをすることにしよう。


紐を新しくして明日の履きおろしに備える。


屈曲させたのでソールの屈曲部分は少し白くなったりもしているけれど、このまま履き下ろそう。
アッパーやウエルトも点検したけれど、特にクラックや破断などは今の所ない。
やれるだけのことはやっているつもりなので、クラックが入らぬことを祈りながら、短時間から履き慣らしていこうと思う。

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