年末の靴屋巡りで出会った欲しい靴の一つ、W22Rを買ってきた。
ご存じの方もおられることと思うし画像を見てピンと来た方もおられるだろう、そう、この靴は01DRの木型を使った外羽根プレーントウ。04MRで失敗したのに懲りねぇ奴だな、と思われた方には返す言葉もないが、今回は前回の04MRとは少しと違うと自分では思っている。
デザインはかつてリリースされて廃盤になってしまった04MRとそっくりで、いわば04MRのリーガルトーキョーバージョン。これが廃盤になるそうで割引で売り始めた所に年末の靴屋巡りで遭遇。その場で買おうかと思ったものの、一度冷静になるため年末年始の間熟考を重ねた。で、一週間経過した正月休み最終日でも依然購入意欲が高いままだったので買いに行ってきた。
年末の靴屋巡りでリーガルトーキョーを訪れた時は他にお客さんがおらず、ゆっくり店員さんと話しながら試し履きさせてもらうことができた。最初は何気なくVフロントのこれとは別のプレーントウの試着をお願いしたが、勧められたサイズが25でタイト過ぎたので、その次にこの靴もセールに掛かっていると言って概要説明と共に勧めてもらえた。
私は01DR系ならと26をリクエストしたのだけど、足長を図ってくれて見繕って勧めてくれたサイズは25.5。履いてみると甲前半部分は正にジャスト、踵もジャストに近い。でも店での試着のタイト加減は半分しか感じていないんだぞ、と自分に言い聞かせ冷静になるように努めた。
04MRで残念だったのは踵のゆるさ。甲のフィット感よりも踵がついてくるかどうかの方が気になって仕方がない。で、最初は皺入れないように気を使って軽く歩いていたのだが、皺入れて構わないので普通に歩いてみてくださいと言ってくれるので遠慮がちに歩いてみた。やっぱり踵がついて来るのが一瞬遅れる。もちろん、紐締めているので最終的には踵がついて来るんだけど、ついて来るのが一拍遅れる感じ。そのことを店員さんに言うと、返りがつかないと難しいですね、とのこと。ジャスト目よりタイト目を勧めてくれる店員さんで、履き味を確かめている間01DRとの共通点や違いを詳しく教えてくれた。
店員さんの説明を纏めると違いは主に5点。
・ブランド リーガル→リーガルトーキョー(半敷きとソール刻印)
・甲革 ベガノ(店員さんはボカルーと思ってるから変わったのかも)→ボカルー
・爪先 素の革→ゴムあて
・ヒールトップ ノーマル→耐久ヒール
・踵芯材 ノーマル→強化版(意訳)
ボカルーはインバネスで色々やらかしているので、苦手ではあるがリベンジにちょうど良い、ゴムあては結局当てるので最初からなっていても構わない、ヒールトップはノーマルでも充分持つのでもっと持つのであれば問題ない、踵芯材、これはそうなのかぁと初めて聞いた話だった。あとは、コバが矢筈から両ツメになったことが違う点かな。
04MRを履いていて残念だった点が踵だったことを伝えた時に、リーガルとリーガルトーキョーやシェットランドフォックスでは使っている芯材の強度や剛性が異なると教えてくれた、その芯材業者が廃業して新たな芯材製造業社がなかなか見つからず一時は靴製造に難儀し、それが要因でリーガルトーキョーの靴はオンラインショップから引き揚げたというエピソードとともに。(ただ、シェットランドフォックスはなんでオンライン継続できているのかは質問しなかった、一時はオンラインからさげたのかな?)
この話は私の心を大きく惹きつけた。踵の強度があるなら、食ってくれる踵をもった293番ラストの外羽根たりうる可能性は高いのではないか?それは試してみたいと強く思った。
そして、優待セールに掛かって定価の5.5万円から3割引きで買える。この価格にも強く惹かれた。01DRの現行正価より安く一昔前の価格帯。
がしかし、26を試着することを再びリクエストすることは言い出せないまま、一度冷静になってから決定することにして、買うことは保留にして店をあとにしたのだった。(ちなみにその時はジョンマーのLH02サイズ8を履いていたのでその場で比較はできなかった)
年末年始、手持ちの靴のメンテをしたり足入れしたりしながらどうするか考えた。
やはり一番の魅力は食ってくれる踵を持つかもしれない01DRシリーズの外羽根っていうところ。外羽根の踵は内羽根より緩めの傾向にあるようだから気にならないレベルの踵であれば良い。食わない踵を食うようにするためサイズを下げて失敗した前回の04MRのリベンジになりそうじゃないか。いやぁリベンジしたい。01DRの外羽根履きたいよ。ボカルーも苦手だけど10年経ってメンテのノウハウも少しはあるし、それなりに扱えるようになっていたいところ、普通に扱えたらいいリベンジになる、革靴の価格も高騰している昨今、10年前価格はお買い得感高いし、買わない理由は金銭面と保管場所とカミさんの機嫌くらいか。それらはまぁなんとでもなる些末な問題と思えるくらいほしい。万が一04MRと同様に踵が緩い靴だったとしてもサイズを間違ってなければ履くこと自体に問題はでないはずでリスクは小さそう。そしてこのチャンスを逃すと、もうVフロントの01DRシリーズの靴は新品で手に入る可能性は低い、皆無に近い。と、買う理由は山のように湧いてくるものの買わないという選択肢を推す材料はほぼ皆無。あとはサイズの問題。
私の心の中では26が良いのではないかという思いが強い。現実問題、25.5より大きいはずの26の03DRの踵が25.5の01DR達3足の踵たちよりも食うのだ。”食う”という表現はちょっと違うか。”踵が動かない”という表現の方が適切かな。先ほど25.5のW22Rを試着したときに”踵が一拍遅れる”と書いたけど、03DRの26はそれがないのだ。二の甲三の甲と踵裏の後端部とにつっかえ棒がされている感じで、ビクともしないのだ(厳密には動いているのかもしれないけど)。甲と踵が固定されているってのはこういうことだろうと思える状態。理由は未だにはっきりとはわからない。ジョイントや踏まずなどのポイントとヒールカーブが26.0の方がバッチリあっていて、屈曲時の靴の曲がりと足の曲がりがドンピシャでシンクロしているからかなぁと推測しているがどうだろう。最終的にサイズ問題は、W22Rの26を履かないことには始まらないので、買いに行って履き比べてその場で決めればよいこととし、買うことに決めた。(01/02DRの26.0は履き下ろしていないのでこれらもつっかえ棒があるのかはわからない)
で、正月休み最終日に、子供にも靴を買うところを見せておきたくて、一緒に連れて行ってきた。履いて行った靴は勿論03DRの26。歩くと踵がカツカツ鳴るのが恰好良いらしい。
開店とほぼ同時に入店。客は私たち以外にいない。W22Rの25.5と26の試着をリクエストし、サイズ25.5は在庫完売で取り寄せ可能。サイズ26はあるのでそちらを、ということだった。前回接客してくれた店員さんもいたけれど、忙しそうに何やらされていて別の店員さんが対応してくれた。在庫そうそう売れないと思いますよっておっしゃっていた読みが外れてバツが悪かったのかな。私がみたことある店員さんを一人も見かけないので入れ替わってしまったのかと少し寂しく感じた。常連ってわけでは全然ないけど、親身になってくれた店員さんがいなくなるとね。。靴ひもで感動させてくれた店員さんや店長も変わっちゃったのかな。。
いそいそと店員さんは箱から靴を出して履かせてくれる。私の感覚では甲前半というか一の甲が高くてスカスカ。でも店員さんが上から手の平でレースステイを抑えながら紐を締めていくとあら不思議、03DRを彷彿とさせるつっかえ棒ぶり。03DRのつっかえ棒よりやや頼りないかな?どうだろう。二の甲三の甲と踵で足を固定できている(と思う)。そして歩かせてもらった。控えめながら皺も入ってしまうような普通に近い歩きをしてみたけれど、踵は動かない!一拍遅れない!指はまずもって問題ない。皺はかすかに両足とも2本線。変な皺も入らなそうな感じだし、これだね、私の中ではこの時点で決まった、サイズ26を買うと。私の足が入った靴の様子をみて店員さんには25.5を勧められる。やっぱり緩く見えているんだなぁと実感。一の甲は確かに緩いしね。でもジョイント幅は緩すぎるってほどでもないような気がするけど、中底の大きさとはよくあっている気がする。
店員さんは、25.5は内羽根がありますからそちらも試して下さい、サイズ感わかりますからと勧めてくれる。明らかに26だと大きいと思っている様子。内羽根25.5履いてみた。ジャストサイズ。店員さんも、やはり革の張りが違いますねぇと満足顔、このサイズが適正と顔に書いてある。普通に歩いてみる。やっぱり踵は一拍遅れる。内羽根でハーフ下でも遅れる。
26の方が踵が動かないんですけど、緩いですかね?とやんわり26の方が良いと思っていること伝えると、革のハリが違いますからねぇと言いながら私の履いていった03DRの中の印字をしげしげチェック。2度見3度見して、失礼しました、こちらも26ですね。と。
多分、03DRを履いている私をみて、03DRのサイズは25.5のはずだと思ったか、或いは緩めを好む人なんだと思ったのかもしれない。でも馴染んだ26の靴は新品の靴ほど緩そうは見えなかったのだろう。それはそうだろう、変に皺が寄っている訳でもなく、私にも緩いようには見えないのだから。私が店員でも25.5を勧めると思う。でも、私は踵に拘りたいのだ。つっかえ棒に目を覚まされたから、そこに拘りたいのだ。早々に売れることはないだろうと言われていた25.5が売れてしまってこの場で試せない、買えないのは26を買えという天啓にも思え、店員さんの腑に落ちない表情に申し訳なく思いながらサイズ26をお買い上げ。
数分試着しただけなので、履き慣らしてどうなのかはわからないけれど、万一踵緩いとか、羽根閉じちゃって全般的に緩くてダメだってなっても後悔はないと思う。その場合には25.5を探すだろうけど、この場で25.5を買えばよかったとは思わないはず。つっかえ棒が機能しそうだと思ってそれに賭けてみることは私には大いに意義があると思えるから。なぜなら今の私のサイズ選びが、甲と踵で足を固定できて足指に負担がないこと、を理想とするからだ。これが十足以上の靴代を払って会得した自分なりの今現在のサイズ選びの方法。これを蔑ろにするならば今までの経験を無駄にすることに他ならず、そのようなことはしたくない。まぁ、いうなれば今回のチョイスはフィット感よりも固定を重視したサイズ選び。これで失敗したら、また悩ましいけれどもフィット感を重視する方向でサイズ選びを再び変更せざるを得ないことになるのかもしれない。
そんな経緯で入手したW22Rの26、実物の画像で細部を紹介していこう。
2021年製のペア。発売時にロットでまとめて造るんだろうね。
リーガルトーキョーのイメージカラー、パープルの半敷き。
爪先ラバー
耐久ヒール
ソールにもリーガルトーキョーロゴ
私にとっての難敵、ボカルーカーフ。
綺麗に光っている。
両ツメのコバ
全景
内部
ソール全景。試着の跡が見える。
内外で高さに違いを持たせた踝付近。
上品な横顔。踵は見た目的にあまり食いそうにない感じ。触っただけでは強化版なのかどうか違いは良くわからない。
羽根の付け根が低いから、低めの甲でも押さえられそう?
中央が盛り上がったソールも01DRと同じ。
さて、どんな履き心地になるか楽しみで仕方ない。私の賭けは吉と出るか凶とでるか、乞うご期待ですな。04MRからハーフでなくワンサイズアップのサイズ26。長年履いたマイサイズの25.5からはハーフサイズアップ。下げて駄目なら上げてみろではないけれど、大きめに振れ過ぎということにならずうまく機能するかどうか、、次の休みの日にでもノンビリとプレメンテして履き下ろすことにしようと思う。余談だけど、サイズ26あたりから箱のサイズがアップするんだね。25.5よりもやや大きめの箱なので余計に場所を取るのは困りもの。。
ではでは。
購入おめでとうございます。新品の靴は久々ではないでしょうか。購入に至る気持ちの盛り上がりが伝わってきました。
返信削除最初見た時、写真の1枚目と2枚目で靴紐を替えたのかと見間違えました。確かにそっくりですね。私も02DRを気に入っていて、外羽根バージョンが欲しくなる気持ちはすごく分かります。
サイズを上げた方がしっかり固定されることもあるんですね。靴の世界は奥深いです。今後も楽しみにしています。
(インスタのフォローありがとうございます!)
さかぐちさん、コメントありがとうございます。
返信削除久々の新品靴ですねぇ確かに、抑えきれませんでした。
サイズ上げた方が固定できるかは、これからってところですかね。内羽根の03DRは固定できていますが、踵が緩めの傾向にある外羽根で大丈夫かどうかは神のみぞ知る、ですw。
宜しくお願いします(^^♪