2016年2月7日日曜日

靴丸洗い ~3029SF~


先日、バンプ部分に異常が発見された3029SFインバネス。
購入後一年以上経過していることもあり、異常対策の第一弾として丸洗いして銀面の異常の様子を観察することにした。






キャップ部分にも細かい皺が入っている

異常が発見された右足のバンプ部分。
画像では異常は小さすぎて見えないが、深い皺が痛々しい



革底、カーフの靴を丸洗いするのは初めてなので、乾燥過程にいつも以上に気を遣うつもり。

洗い方はいつもとあまり変わらないが、お湯に浸しておく時にプラスチック製のシューキーパーを入れて実施してみることにした。
こうすると皺もリセットされるらしい。

まずはブラッシングの後にシャワーでお湯をかけていく。


キャップ部分はボコボコしてくる。


靴内部、外部ともよく濯いで、シューキーパーを装着し、お湯を張ったバケツにドボン。
今回は30分ほどの浸け置きにした。


水分の浸透度合いが異なるのか、右足だけ浮いてくる。
31ERシリーズを洗った時はどうしても浮いてしまうのでわからなかったが、靴から出てくる色のついた成分は水よりも重いようだ。下部だけ色濃くなっている。

この後、取り出してシューキーパーを外してボディソープで念入りに手で洗う。
洗ってよく濯ぎ、再びシューキーパーを装着してお湯を張りなおしたバケツにドボン。


今度は両足とも沈んだ。
30分後

20分を過ぎたあたりから、色のついたものが染み出してくるようだ。

取り出した後、再びシャワーで濯ぐ



ここから乾燥過程に入る。
まずはタオルに、内部もできるだけ水気を吸わせる。
その後、靴内部へキッチンペーパーを詰めると共に、甲革や靴底の水分も吸えないかと靴自体をキッチンペーパーでくるんでみた。


先にくるんだ右足のつま先は水分を吸っているのである程度は吸水効果があるかも。

一時間程度したら、キッチンペーパーを取り換える。


厚化粧で隠していた傷跡が顔を覗かせる。
どうやら、浸け置きした時に水が濁る原因になる色つき成分は主に中敷からでているように思える。キッチンペーパーを取り換える時、色のついた成分を吸っているのは中敷と接している部分だけだった。

再びキッチンペーパーを詰め、巻く。


一時間程度経過したら、再びキッチンペーパーを取り除き、シューツリーをセット。
靴内部も含め、一度軽くデリケートクリームを入れる。



ここからはシューツリーを入れたり出したりしながら乾燥させていく。
シューツリーは入れていない時間の方が長いが、型崩れしないようにとツリーが乾いたら入れて、一時間ほどしたらツリーを出して乾かすことを繰り返す。

二日目の朝に再びクリーム(今度は馬油ハンドクリーム)を入れて、終日乾燥させた状態。
靴内部のキャップ内側が乾ききっていない。
ゴム底に比較すると乾燥がとても早い。



なんだか、革の質感と色目にバラつきがある。
傷は仕方ないにしてもキャップとバンプの左右差が顕著。グラデーションみたいだ。
もしこの靴をスッピン状態で販売していたら買わないだろうなぁ。

次は、銀面に残っているクリームを取り除く。


洗剤で洗うときに手ではなく、スポンジ等を使うべきかも。

このクリームと思われるものの取り除きにレダーオイルを使用してみる。
一度、レダーオイルを使用してオイルリッチになって、クレム1925を塗ってブラッシングしても艶がでなくなった経験があるので、今回は極少量で、すぐ拭き取ることを心掛けてやってみる。




残留物は取り除けたようだ。

キャップの先だけレダーオイルをいれるのも仕上がりに差がでるかもと思い、極少量をパーツごとに塗布して、すぐ拭き取ってみる。




よりしっとりしたような印象。

仕上げにクレム1925を、これも極薄く入れてみる。




うーむ、つま先部分が光らない。


しかたがない、キャップの先だけ濡れ雑巾でクリームを落としデリケートクリームをたっぷり乗せて脂分が浮いてきた頃合いを見計らって拭き取る。
2回同じ作業を繰り返した結果、、



左足はそれなりに回復したものの、右足は依然光らない、、、

このあと、もう2回右足キャップ先端だけデリケートクリームの作業を繰り返したものの、回復しなかった。
しかたなく、左足先端部分だけ水を掛け、再びボディーソープで軽くあらって乾燥させから再びクリームを塗ってみたものの、それでも光らない。

丸洗いを一からやり直せば戻るかもしれないが、今回は時間がないのでここまで。
アッパーの色味調整とつま先の傷隠しなどクレム1925をもう一度軽くいれ、アウトソールへの補油とコバインキでの仕上げを考えていたが、もう一度丸洗いからやり直しが必要に思うので今回は実施しないでおく。

一方、今回の主目的である右足バンプ部分の異常はどうなっただろうか。


もともと、異常がとても小さかったが、見た感じ、撫でた感じでも異常は感知できなかった。
なんだったのだろう?
銀面が擦れて毛羽立つような状態だったものが、丸洗いとクリームによって寝ただけとも考えられる。
何度か履いてみて、また様子を観察することにしよう。


今回、革底カーフ靴の丸洗いをしてみたが、合成底に比較して乾燥時間がとても短いことが印象的だった。放湿面積の大きさの違いが時間の差に如実に現れたものと思うが、頭ではわかっていてもゴム底の半分以下程度の時間とは思わなかった。ゴム底靴に比べ、アウトソールに補油というひと手間が加わるものの、待ち時間が少ない分、革底の丸洗いの方がトータル時間が短くなって取り組みやすいと感じた。
また、クリーム塗って光ってます的な洗う前の状態から、洗った後は革の素材感を活かした仕上がりになったように見えて好印象。丸洗いは甲革には悪い影響より良い影響の方が多いような気がしている。
今回、浸け置き時にシューキーパーを入れてみたが、皺がそれによって伸びたという印象はあまりない。むしろ、乾燥時にシューキーパーを入れておくことの方が皺取りには影響がるように思える。

革は濡れた時に負荷をかけると伸びるし、乾燥過程で縮む。濡れている過程であまり引っ張るような状態にしていると逆に伸びてしまいそうな気がしないでもない。
だが気分的に、濡れて型崩れが心配されるような状況で適正な形を保つという意味では入れておくことに意義があるように思うのでこれからも入れて浸け置きしようと思う。

タピールのレダーオイル。
この靴のこの革のメンテ用には使わない方が無難だ。もうこの靴にメンテ用途には使わないと思う。
ボカルーに使わないという意味ではなく、この靴のこの革には相性がよくないみたいに思う。
クリーム等をよく吸収するという特徴を持つボカルーだが、その特徴を持ちながら、この靴のこの革は傷つけたり、革のクオリティーがパーツごとに異なることも影響してか、ちょっと私の塗布、拭き取り技術では対応が難しい。
オイルリッチになることを回避できず、オイルリッチになったあとの対応もできていない。
当面はこの靴のメンテには使用停止。

31ERそしてこの靴と洗剤洗いでは落としきれなかったクリーム痕があった。
洗剤洗いにスポンジを使用して擦ってみるか、水洗い前にクリームを落としておくかした方がよさそうだ。
水洗い前にレダーオイルを使用して落とす方法でも良さそうだけど、まずは洗剤洗いの時にスポンジで洗ってクリーム痕が残らないか次回の丸洗いで試してみようと思う。

来週あたり、もう一度丸洗いして、最終仕上がりを追記予定。

0 件のコメント:

コメントを投稿

承認制にはしていますが、コメント歓迎です。
お気軽にどうぞ。