2018年9月9日日曜日

靴のお手入れ 2018/09/08


今日のメンテは02KRBH。
雨濡れと内部浸水後の革への悪影響を低減させることが主目的。





先週来襲した台風21号の影響で出勤時に猛烈な豪雨に遭遇。
甲革は勿論、靴内部も前半部分を中心にぐしょ濡れとなった02KR。
防水(?)スプレーはかけていたけれど、あまりの豪雨と水たまりの深さによって内部浸水まで20分と持たなかった。水洗いに近いくらいに濡れたことと、一日中湿った状態で着用していたので、靴を労わって、水によって流出したであろう油分を補給することにする。
最後のメンテは6月なので約3ヶ月ぶりの手入れ。今回まともに浸水して酷い状態になるかと思いきや、乾燥させてブラシ掛けしたら、あら不思議、革の状態はシットリ感が増していて艶も深くなり、濡れる前より良くなったように見える。
が、革の状態を判断する私の目は信用ならないので、内部を中心に油分をしっかり補給することにする。



コバまわりはまだそれほど酷い状態ではない。
爪先の減りがウエルトにかなり接近している。



内部もほこりが溜まっているので掃除しよう。



スベリ革のダメージは右足が結構深い擦れ方をしている。擦れているというより削れているという印象。踵のあたりが強いのだろう。元々あたりが強いことに加えて、2235の比較記事でも書いたけれど、踵をより強く月形芯に押し当てることで心許ない踵の食いつき感を増す試みをしているので、なおさらかもしれない。


履きおろしから1年9ヶ月経過。登板頻度は2週に一度近辺だろうと思うが、ソールの消耗具合はこの程度。このアウトソールのセンター付近は硬めの感触だけあって耐摩耗性は高めの印象。



おそらく、ブラシ掛けしすぎで縫製糸の毛羽立ちが激しい。炙るのも気が引けるし、遠目にはわかりにくいからあまり気にしないでおく。

メンテ内容
甲革
・水拭き
・リムーバー
・水拭き
・デリケートクリーム
・水拭き
・乾拭き
・クレム1925黒
・化繊ブラシ
・拭き取り
・馬毛ブラシ
・乾拭き

コバ
上記甲革の内容プラス、クレムを入れる前に、
・ヤスリ掛け
・水拭き
・コバインク

アウトソール
・水拭き

内部
・リムーバー
・デリケートクリーム


今回初めてコバをヤスってみた。
ラバーソールではあまりやらないもなのだろうか。
ゴム用のコバインクはどうも粘度が高くて薄塗りが難しい。
上記のように一部ムラになってしまった。
下地処理がよくなかった可能性もあるけれど、もう少し薄塗りして何度かに分けて塗り重ねたいのだが、ゴム用コバインクの蓋についているものは洗車機のブラシのような形状で表面積がとても大きくなっており、非常に多くのインクを含んでしまう。瓶の口でいくら絞っても絞り切れず薄塗りが難しい。筆でも調達してきた方がよいかもしれない。


こちらはムラにはならなかったものの、ヤスったせいか、厚塗りしすぎなのか物凄く黒い。いかにも顔料の厚い層で覆っていますというような印象。少し不自然な感じがする。
ゴム底のコバ塗りはあまりやっていないけど、今後の課題にしよう。





内部への補油を一番重視しているメンテなので、内部の特に前部分には入念にデリケートクリームを入れた。このサイズ25だと手がギリギリ奥まで入るサイズなので作業しにくいが、ダメージが入っているライニングの小指部分やキャップ内側の親指部分、インソール全体にしっかり塗り込んだ。
今回の補油の主役はデリケートクリームなので、クレムは片足で米粒一粒程度。その程度の量のクリーム塗布でも拭き取りには汗を流す必要がある。
雨に濡れてシットリ感が増していたけれど、今回クレムを入れてまた一段と革の表情に深みが出たようだ。気のせいかもしれないけどw。






コバやヒールがノッペリと黒々していて不自然さを感じるけれど、引き締まって見えなくもないから、まぁ良しとしよう。





登板頻度はそれほど高くないけれど、1年9ヶ月経過して足に馴染んている様子が外見からも伺えるようになってきた。新品の靴も美しいけれど、自分で履き込んで自分の足に馴染んできた靴はやはり魅力を増して見える。木型が同じ01DRとは履き心地もデザインも異なり、自ずと雰囲気も異なるけれど、この靴は履き込んで手入れする度に魅力を増してくるところがとてもわかりやすくて面白い。サイズ的にタイト目で履いているけれど、足当たりの柔らかいライニングと甲革、ゴム踵のクッション性と成形モールド、沈み込みの大き目な中物のシナジーで感じられる歩き心地もかなり心地よく感じている。
成形モールドがかなりこなれてきたので、踵が深くなってきたことや、月形芯の形状が私の踵の形状と寄り添い始めてきたのか、気になっていた踵も以前に比べれば随分ついてくるようなった。雨の日の登板割合が高いけれど、これからも大事に履き込んでいきたい。

今回、内部浸水させてしまったことで、雨対策の考えがだいぶ変った。
どうせ濡れるなら革底でもよいのではないかと。
私は靴下や足が濡れることが嫌で雨の日はゴム底を選択している。しかし、大雨ではゴム底を履いても足が濡れてしまうなら、ゴム底革底どちらでも好きな方を履いたらよいではないかと。

内部まで浸水して今回のようにメンテするならば、手間としては革底でもそれほど変わらない。今回のメンテにアウトソールへの補油が加わるだけ。
革底の靴をあまり雨に晒したことがないので、私が気付いていない、知らないリスクがあるのかも知れないし、私の少ない経験でも、革底を雨に晒してあまり良い思い出はない。
客先で靴を脱ぐような場合には、積極的に履かないまでも、革底で雨を気にしないで履く靴を決めて、どんなことが起きるのか試してみようかと思っている。

今回足もずぶ濡れになって12時間以上湿ったままの状態でいたけれど、それほど気にならなかった。革底ならもっと早く乾いたのではないだろうかとも思った。これが寒い冬とかだとまた話は別のような気もするけれど、それも体感しないとなんとも判断のしようがない。
最悪のケースでは革底の靴が一足ダメになるけれど、革底と雨という一般には避けるべきと言われる状況を実際に経験しておくことは、革靴そのものやメンテナンスの知見を広げてくれるハズ。軽度の雨でも浸水してしまいゴム底のメリットを改めて強く感じたり、靴がダメになってリスクが大きいならやめればよいし、問題ないなら雨でも履く革底靴をもっと増やしてもよいだろう。

それにしてもゴム底が存在しなかったその昔はどうしていたんだろうか。
リーガルでも69年春の2504Nの発売が初の合成底というからそれ以前は革底しかなかったはず。合成ではなくゴムの底は存在したのだろうか。
その当時は当たり前に雨濡れ後のケア方法があってしかるべしと思うのだが失われてしまったのか、忘れてしまったのか。
そもそも雨に濡れてもケア方法が確立されず、寿命がとても短かったのか。頻繁に底を張り替えていたのか。その昔はリウエルトしないオールソールをしていたらしいし、どうなんだろう。

さて、どの靴にその役を担ってもらおうかな。

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