2018年8月27日月曜日

クラック対策の実験 ①



クラック対策の実験台に調達したこの2235。
まずはクラック、ダメージのひどい右足から試していく。
70年代の靴の可能性も零ではないが、そんなことはお構いなし。





掃除して保湿までしたところ。



まだ水分が飛んでいないからこのような状態だけど、水分が飛ぶとよりクラックが強調されて見えてくる。


レダーオイルをたっぷり入れて、


更に無色のクレムをコッテリと塗りたくって、甲革メンテ完了。
革が傷んでいる部分は油分を入れることで黒ずんで見えるようになった。


外側羽根のすぐ下にあるクラックは履き皺と同じ方向に入っていて深そう。


内側羽根下にあるクラックは2324と似た感じの縦方向のもの。


バイクに乗って転んだりでもしたのだろうか。キャップ外側からバンプまで場所によってはかなり深い一連の傷。


キャップも擦ったり削れたりの跡が盛り沢山。

今回はまず、ヤスることクラックを削り取ってみる。
傷もヤスってみてどんな見映えになるか試してみる。


右足のキャップの傷をメインに600番、1200番、磨き用と3種類で擦っていく。
傷の部分などは擦ると革が崩壊するから難しい。


画像取り忘れたので、すでにバンプも削ってしまっているけれど、クレムのコニャック色で着色してブラシ掛けと乾拭きをしたらこんな感じ。
幾分マシに見えなくもないけれど、削った部分は色が濃くなって艶がない。処置前と後とどちらが良いか微妙なところ。


次にバンプ部分の傷とクラックをヤスっていく。
外側キャップ近くの傷はほんの少しだけ削る。傷が目立ち難くなればよいという気持ち。
クラックはそれ以上クラックが拡がらないように、クラック自体を削り取ってみた。
クラック付近は革が崩壊しやすくて作業が難しい上に、クラックは銀面を優に通り越して床面にも到達していた。クラックが見えなくなる深さまで削りこみ、表面を細かいヤスリで均していく。
傷んでいるからか、そういうものなのか判断がつかないけれど、ヤスっていると銀面が固まりで取れてきたりして難しい。油分水分補充する前の方が革が崩壊しずらく削り易かったりするのかもしれない。


その後、クレムのコニャックで着色してブラシ掛けと乾拭き。




遠目には多少マシになったようにも見えるが傍に寄ると、削った部分は銀がなくなって陥没したような状態で、艶もない。

そして最後に最も重要な確認。
クラックを削ってクラックがなくなったか、再発しないかを確認する。



羽根外側の皺と同じ方向に入っていたクラックを削り込んだ跡は…。
屈曲させても、今の段階では横方向のクラックは再発してはいない。横方向のクラック退治には成功と言えるかもという感触だが、新たに縦方向のクラックがいくつも発生。元から入っていたのか新規かは判然としない。



羽根内側の近くに群生していたクラック群を削った跡は…。
屈曲させたら、再びクラックが出現。削ったと思っても微細なクラックは更に奥まであったのか、新たに発生したクラックかは不明。あまり削り込むと穴が開いてしまうのでこれ以上削ることはしないでおく。

【結論】
2235の右足を使った、ヤスってクラックを削り取ってなくしてしまおうという試みは、失敗。私のアプローチの仕方ではクラック対策として成立しない。
削ることで一見クラックを削り取れたように見えるものの、再度屈曲させることで再発した。また、革を削ることで見映えに大きく影響し、更に革の強度や耐久性にも影響を及ぼすことから、クラック対策として無効なだけでなく副作用も大きく、実施しない方が良い。
※私個人の技量やアプローチ仕方や手順の問題などもありそうなので、この結論は私の場合限定。


さて、ヤスってだめなら根本対策は思いつかない。やはりクラックは予防が肝だ。
次は左足を使って、消極的な方法を試してみようと思う。

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