2015年12月13日日曜日

雪国の靴事情 ~北海道編~

北海道へ行く機会があった。

この時期の北海道とあって、靴をどうするかについて少し気を使った。
事前の情報では、革靴でいくことが論外。長靴で行くべしとの意見もあったが、まさかそんなこともあるまいという思いと、わざわざ雪用の靴を新調する余裕もない懐事情と、初見の顧客に長靴で訪問することへの抵抗感から、ゴム底の靴で行くことにした。



私が訪れる前の週にドカ雪が降った為、街中にも雪が残っていた。
この時期のドカ雪は珍しいらしく、通常は歩道も除雪されているらしいが、時期が早いためか除雪が間に合わず、ほとんどの歩道は雪が残っていた。
また、主要道路の車道は除雪されているが、一本脇へ入れば車道も雪が残る状態だった。



関東から赴いた私からすれば寒いと感じたが、当地の人にとっては暖かいとのこと。
確かにその日は10度に届こうかという気温で、足元は解け始めた雪でグチャグチャな状態。
ゴム底靴で歩くには歩けるが、雨と違って雪がコバなどに乗って溶けるのと、雪溶け水がうまく排水されずに歩道と車道の境目には目を瞠るような深さの氷水になっていたりしてかなり難儀した。

日中はそんな状態で、客先へ出向き所用を済ませ、その晩、夕食を兼ね同僚と一杯呑みに出かけた。
さすがに夜は冷え込み、日中はグチャグチャだった雪がコチコチに凍り始める。
ゴム底靴でも雪ならばなんとかなりそうだと思い始めていた私だったが、この凍り始めた路面を歩くことで、認識を改めざるを得なかった。

凍った路面をゴム底靴で歩くことは、危険である。

飲み屋に到着するまで凍りついた路面を歩いたのだが、初めは普通に歩いたが、滑って転びそうになった。危うく転倒するところだった。
それ以降は歩幅を小さくし、重心の移動に注意を払いながら歩いたが、滑るものは滑る。
なんども足を取られながら、なるべく雪の上を歩き、なんとか転倒せずに目的地へ到着できた。

目的地に到着するまで地元の人と思われる人々ともすれ違ったのだが、彼らもやはり足を取られたり、ひどくは転倒した人も見かけた。彼らの靴はブーツ系のゴツイ靴が多かったが、それでも滑るときは滑るらしい。慣れなどでどうこうなる問題ではないようだ。

初日の客先での足元観察、日中街中、夜の街中、飲み屋での地元民と思しき人々の足元観察から、彼らの靴底はほぼ100%ゴム底で、私の推測ではそのすべてが雪用の底のものと思われた。

初見の顧客に靴云々の話をする所までは至らなかったが、彼らは革靴ながらゴム底だった。
客先に行かない事務方で外で多少の作業をするような人は長靴を履いていた。

一日目の感想としては、どうやら雪用底の靴を履くことが、こちらの常識のように思われた。

二日目は夕刻に少し空き時間を創れたのでリーガルシューズに立ち寄ってみた。
いったいどのような品揃えで、何が売れ筋で、ご当地の靴事情がどんなものなのか聞いてみることにした。


夏場の品揃えがどうなのかは聞かなかったが、7スパンの棚の内、4スパンは雪用底の靴。中央の島陳も雪用底の靴達。予想はしていたが、関東ではお目にかかれない雪用底がこれほどまでに沢山あったのかと少々驚いた。革底の靴は1足だけ。

販売員の方に話を伺うと、降雪時期は特に雪用底が売れるそう。私が訪れた時期はまだ降雪が本格的ではなかったが、これから降雪が本格的になると、雪用底のブーツが主体になるとのお話。
普通のゴム底の革靴では滑る危険が付きまとい、降雪時には雪が靴の中に入ることを防げない為、どうしてもブーツが有用になるらしい。
また、ゴアテックス等の防水靴も重宝されているらしい。雪が溶けて水が浸水してくるのを防ぐのは極寒の環境ではシビアな問題というのも頷ける。

ゴム底を購入された方でもハーフラバーで雪用底を貼り付ける人もいるそうだ。
私は体験したことが無いが、雪用底は凍った路面でもそれなりにグリップするのだろう。
雪用底にもタイプがいくつかあるようで、コロバンショやパナテトラなど好みが分かれるところらしい。

この後、喫茶店で待ち合わせまで時間をつぶしがてら、通勤途中のサラリーマンの足元を暫く眺めてみたが、革底は一人もいなかった。全てコム底。ブーツの割合が関東より圧倒的に高かったが、短靴の中ではスワールトウの多さは関東と同様だった。
東京の中心部、大手町や新橋あたりではちらほらと革底を見かけるから、そう考えると雪国の革底靴の割合は時期的にも低いのだろう。

最終日に百貨店の靴売り場もチラリとのぞいてみたが、こちらは関東とそれ程変わらないように思えた。もちろん雪用底の靴もあったが、その数は多くはなかった。店員さんも革底の靴を履いていて、百貨店の雰囲気は関東でのいつもの感じと変わらなかった。


百貨店で革底の靴も普通に品揃えされていたから、革底の靴の需要もあるのだろうけど、時期的に革底靴は実用的でないのだろう。
やはり、雪国には雪国の文化があるのだろうと思う。

再び訪れる機会があれば、ビジネス上での靴のマナーについて話を聞いてみたいものである。

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