2015年11月2日月曜日

REGAL 31ERBE/33ERBE

2015年秋冬モデルリリースのタイミングで廃盤になってしまったモデル。

左から31ER/31ER/33ER
廃盤モデルを紹介することにあまり意味はないと思うのだけど、大げさに言えば、星の数ほどあるリーガルの一過性シリーズの中で、たまたま私の手元(足元?)にいるのも何かの縁であり、靴には無頓着だった私が意思を持って手入れを始めたシリーズでもあり、私の貧弱なワードローブでは依然準主力であり続けており、私が紹介できる数少ないシリーズの一つでもあるので、あえて紹介しようと思う。




どのタイミングでこのシリーズがリリースされたか正確には知らないのだが、毎年多くのシリーズがリリースされ同時に多くのシリーズが消えていくというリーガルの一過性のシリーズの中で、この30~34ERシリーズの寿命は長くも短くもなかったといった所だろうか。

このシリーズとの出会いは2013年の夏の終わり、当時40代も目前に迫ってきて、仕事上で経営者や役職の方とも接触する機会が増加して、年相応の身嗜みをする必要性を感じていた。そこで、まずは靴を奮発して新しいものにしようと思い、家族連れで近くのリーガルへ立ち寄った時だった。
脱ぎ履きがしやすく、格好よく見え、予算内であることからダブルモンクの33ERにしたのだった。


さてこのシリーズ、控え目なロングノーズのスクエアなポインテッドトウ。エアローテーション搭載で厚めのソールに360度ウエルテッド。自分で履いている印象では、キャップが大き目なこともあってかあまりロングには感じない。つま先を引っかけたりする場面があるのでポインテッドを時々意識する。上側からはすらっとした印象だが、コバから下はゴツめでチグハグな感もある。

31ER
33ER


甲革は鏡面加工のソフトステア。ソフトと命名されるだけあって足馴染みは良い。加脂を2回行って柔らかくしているそうだ。数回履いただけでも、固さが割と取れて馴染み始める。また、鏡面加工されているが、2504等のいわゆるガラス革とは少し趣が異なる。よく見ると毛シボの型押しがされて表面に凹凸感があり、表面の樹脂も薄めの印象。そのせいか、雨に降られると銀付き革のように、部分的にボコボコとふやけたりすることもある。




このソフトステア、皺の入り方は最初は結構深めの目立つ皺な感じだが、メンテしながら履いていると細かなあまり目立たない皺になっていくようだ。私は革の質や見た目についてどうこう言える程の経験を持ち合わせていないのだけど、革自体にしっかりした厚みがあることで耐久性を期待できそうな気がすること、いわゆるガラス革と比べて光り方が若干大人しいこと、皺の入り方もクラック入りそうだな的な危機感を感じさせないこと、ガラス革的な頑丈さもある程度持ち合わせていそうなことから、悪くないと思っている。銀付き革に比べれば安っぽさは隠せないが、馴染みやすく、扱いやすい革かと。

31ER(1ヵ月経過)

31ER(1年経過)
33ER(2年経過)


ソールはセメンテッドでゴム底が密着され縫い目が露出していない。
下の2枚は新しい物と2年経過したもの。2年経過した33ERは最初は週2ペースで登板していたから150回程度は登板していると思う。写真ではわかりずらいが、ソールの中央部の溝がほとんどなくなってきている。アウトソールの厚みを考えるとソール自体はまだまだいけそう。つま先はウエルトにかかる所まで減ってしまったので先日修理を実施。リーガル純正工場では受け付けてもらえず、持ち込んだリーガル店舗が独自で提携しているという修理屋での修理となった。純正工場ではこの発泡ゴムの素材は剥がれる可能性がある為修理しないそうだ。ゴム底でつま先修理をする人はあまり多くないと思うが、このシリーズの小さなウイークポイントの一つに数えられるかも。

いただけないと思うのが踵の赤いポンプ。この顧客目線を忘れたデザインは、リーガル好きの一ユーザーとして、とても残念に思う。リーガルには何度かメールで意見をしたのだが、社内や販売店からも同様の声が多くあり、来年のモデルではポンプの色を同色にしたモデルを開発しているそうだ。

エアローテーションシステム自体改良されて異なるポンプ形状と厚みのものも販売されている。リーガルとしては開発費の回収もしなければならないこともあり、注力しているのだろう。また来年もエアローテーションシステム搭載のモデルがリリースされるということはユーザーからある程度支持を得ていると考えたいが、私はこのシステムを搭載している靴を履いているユーザーをめったに見かけないし、ネットでもあまりみつからない。目立たないポンプを搭載したモデルがリリースされれば、ユーザーの評価も販売数量も変化するだろう。その時が本当の評価になると思う。

このモデルの一番の押しであろうエアローテーションシステムは、多少は効果あるかも?程度の印象。歩いたら足裏に風を感じるわけでもなく、歩かなければ空気は循環しない訳で、ふつうのゴム底と比較したら多少蒸れは緩和されていると言われればそうかもと思う程度。デスクワークの多い人ではあまり感じないのではないだろうか。一日出歩いてみても、革底程蒸れない訳ではない。



31ER(購入後一ヶ月)

33ER(購入後約2年、つま先修理済み)

ソールの厚みは結構ある。




このソールの厚みとソールに縫い目の露出がないこともあってか、今まで水が靴内に侵入してきたことがない。アスファルトの水溜まりも厚いソールのお蔭でアッパーまで水につかることもほとんどないし、結構な土砂降りも経験したが水は浸入してきていない。革靴の耐雨水浸入性としては、私としては十分合格点。ウエルトの縫い目から侵入する水の量はそれ程多いものではないのかもしれない。雨の日のスタメンである。

履き心地の印象は、新品と馴染んだ後でフィット感の違いがとても大きい靴。
この靴はグッドイヤーウエルテッドであるが、エアローテーションシステムを搭載しているため、下写真のような中物を採用している。この中物は沈み込みの量がとても大きい。


また、フットベッドが形成された後は、一の甲、二の甲、三の甲ともに緩く感じるかもしれない。内羽モデルではかなりキツメのものでないと羽根が閉じきってしまう人もいるだろう。沈み込み量は計測できないのでわからないが、触った感じ2mmはあるのではなかろうか。ただ、この中物のお蔭もあってか、履き心地はとてもソフト。スニーカーとまではいかないがクッション性もグリップ力もあるから急な動きなどにも問題なく対応できる。

33ER(約2年経過)

31ER(約一年経過)

31ER(約一か月経過)



土踏まず部分は多少絞られているが、私の場合は土踏まずを支えたり、土踏まずに触れたりすることはない。踵は大き目で緩いかな。昔ながらのモデルに比較すると少し小さ目か。01DRと比較するとこちらの方が大きい。カウンター部分の形状も直線的で特筆点は感じられない。


因みに、このシリーズの踵修理をする場合は敷革交換とセットが基本となるそうだ。接着で踵を取り付ける為、中敷を一度剥がす必要があり、大抵の場合剥がした時に敷革の下にあるスポンジが千切れるそうだ。千切れたスポンジのまま張り直しもしてくれるそうだが、凸凹するので、リーガルでは敷革交換をお勧めしているそうだ。私はヒールだけでの修理経験はないのだが、大抵の靴がそうなのか、この靴あるいはゴム底靴全般がそうなのかは私は知らない。

33ERはサイズ26を購入したものの、馴染んだ後に、甲とボールガースが緩く感じるようになり、買い足した31ERは2足とも25.5。緩く感じる33ERはストラップを最もきつくして履いている。31ERはボールガースは丁度良い。羽根は買った当初は1センチくらいは開いていたのだが、今は羽根閉じきりではあるがフィットしている。もう少し緩くなるかもしれないので、その時は甲パッドの装着も検討する。このシリーズは廃盤になったが、同様のソールを使用したシリーズはいくつかあるので、このソールを使用した靴を購入される際は沈みこみを大目に考慮されることをお勧めする。


リーガルの靴は固いという印象をもっている人や、ガラス革は好みじゃないという人、足の蒸れが気になる人などをターゲットとして開発された靴なのだろうか。客観的に見ればガラス革にギミックを搭載して、流行りのロングノーズも控え目に取り入れた靴といったところだろうか。靴好きの人たちからは見向きもされないだろうし、廃盤になったことを考えると一般受けもそれほどでもなかったようだ。だが私にとっては、靴に目を向ける切っ掛けになった靴であり、自分の足にフィットすることも経験済みで、いわば勝手知ったる庭のような存在。他に欲しいと思う靴は色々あるのだけれど、このシリーズがネット上では40%オフなどで処分販売されていたりもするので、残りわずかなこともあり、クオーターブローグやプレーントウも買い足そうかなぁなんて財布とにらめっこしたりしている自分がいる。雨の日が主な舞台となる靴はもう十分とも思うが、財布に優しく、これが購入の最後のチャンスであることで、完全には踏ん切りがつかないでいる。

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