2020年7月4日土曜日

靴のお手入れ 2020/07/04


さて、一年半ぶりに再開するメンテの最初の一足はこの33ER。
靴から遠ざかっていた期間、メンテなど一切せずとも黙々と足元を支え続けてくれていた靴。
主目的は清掃、補油保湿に加え、そこかしこにできた傷を目立たなくさせること。


登板回数や頻度など記録を残していないので正確なところはわからないが、纏まった連休などを除けば、2019年の3月位までは週に2回程度、以降10月までは週3回程度。それ以降は月に2,3度程度での登板のだったように思う。

正確な回数はともかく、全面的にスニーカー通勤に変えるまで雨風関係なく相当な回数を登板させ、最後まで稼働させ続けた靴。3足のゴム底でローテしていたが、傷や故障で次々と脱落。この靴も酷い状態ではあったが、現在まで使用に耐える状態(といってよいものか?)を維持してくれた。

その間、手入れはまったくせず、履いた後のブラシ掛けとたまに乾拭きしたのみ。




ややロングな靴の為、つま先をひっかけることが他の靴に比べると多いからか、キャップに相当な数の擦り傷とスレ傷。コバも地肌の色が見え毛羽立ちが激しい。



バンプの擦れたスジが目立ち、革もあまり良い状態には見えない。


踵もそろそろ交換したほうが良さそうな消耗具合。
踵のウエルトもかなり毛羽立っている。



両足のバンプ外側、ウエルトのへし上がりが目立つのと、ソール外側が随分削れあがっている。


靴底の溝が見えなくなって久しいが、消耗が進んで溝が消えた部分が更に広がったような気がする。
2017年末も2018年末も来年はオールソールかと心配していたが、これだけ履いてもまだ穴があくには至っていない。ソールの分厚さが物語っている通り、このエアローテーションのゴム底は分厚いようだ。



表底の表面にはソールより一層上にある、エアローテーションの空気の通路に沿って波打っている様子。手で押すと相当薄くなっていることがわかる。限界は目前か。





爪先には埃がたまり、半敷きは一部破損。この破損のせいで一度踵後部に水膨れのマメができた。ここは履き心地に悪影響があるので修理したい部分。
消耗してベロアのように起毛していたスベリ革はより消耗度を増してザラザラしてきている。これも穴が開くのはそう遠くなさそうかな。


改めてブラシ掛けをしてみるが、傷や消耗は隠しようがない。
この靴をこうして改めて見つめなおすと、随分草臥れさせてしまったなと。
恥ずかしい。

大したことはできないけれど、清掃と手入れをしていこう。
傷や擦れ傷も目立たなくさせられたらよいのだが。



両キャップの傷、擦れ跡。ウエルトのガビガビ。



バンプ内側の擦れ跡。



両ヒールカウンターの擦れ跡。
こういった目立つものを目立たなくできるかどうか。

メンテ内容
甲革
・水拭き
・デリケートクリーム
・水拭き
・乾拭き
・リーガルクリーム黒
・化繊ブラシ
・拭き取り
・馬毛ブラシ
・乾拭き

コバ
上記甲革の内容プラス
・コバインク

内部
・水拭き
・デリケートクリーム
・水拭き

まずは、水拭きで汚れ落としと水分補給。
ヤワヤワと拭いていると、、



ピンぼけ気味だけど、右足バンプの外側の皺がそろそろ裂けそう。もう裂け始めているかな?確かこのバンプ部分は革の状態が悪そうだと気にしていたところだったような。
時間空けてしまったのと、靴を頭から追い出していたからキャッチアップが大変。

ざっと拭っても布に汚れは大して付着しない。汚れていないのか、取れていないだけなのか。。クリームが残っていないのは、頷けるのだが、、
あまりゴシゴシするもの気が引けるので、ヤワヤワ、ユルユルと優しく撫でていく。



水分飛ぶように暫く置いてからデリケートクリーム。いつもは汚れ落としにリムーバーを使うが久々で革の状態もよくなさそうなので、今回はスキップ。
樹脂が塗装されている革だけど、汚れ落としも兼ねてデリケートクリームをたっぷりと指で塗り込んでいく。
指で直接革の表面を撫でると視覚では得られない情報が触覚から得られる。
表面の状態を指で感じることができるので、見るだけより多くの情報を得られる。(役立つかは別問題)
今回は塗り込んでいる時に、革が少し柔らかくなるのがわかった。
触る(撫でる?)って結構大事なのではなかろうか。



塗り込んで10分程置いてから、軽く水拭きして乾拭き。
艶が少し戻ったかな。



リーガルクリームを塗ろうかと蓋を開けたら、ワックスになってましたw。
前もひび割れていたけど、一年半で更に乾燥が進んだみたい。
水分が飛んだだけだろうから、まぁこれでやってみよう。


ペネトレイトブラシを、硬くなったクリームにチョンチョンと強めに突き刺し、傷のある所へは多めに、他は薄く伸ばしていく。水分飛んで硬いからか伸びにくいけど、摩擦熱で温まると結構伸びるように感じた。ウエルトにもゴシゴシと。


クリームの浸透を待つ間、靴内部を水拭きしデリケートクリームを入れもう一度水拭き。
この靴はユル目なので、デリケートクリームを拭き取らないと足が靴の中で滑って動きやすかったような記憶があったため。
踵周辺のライニングの痛みは大分進んでしまったが、触った感じでは前半分の痛みはそれほど進んでいないようだ。
爪先の埃もわんさか取れてスッキリ。


内部がおおよそ乾いた所で、ツリーを入れてクリームを馴染ませ飛ばしていく。
いつもより入念にブラッシング。


最後にいつも疲弊してしまう乾拭きでのクリーム拭き取り。今回は程ほどにした。
まだ残っているかもしれないので、次回はリムーバーを使うようにしよう。



拭き取りを終えたら最後にコバインクを塗っていく。確かゴム底用は塗りにくかったような記憶がある。やってみるとやはり難しい。インクを絞るのことが難しい。最初は多すぎてインクが滴ってしまいがち。次回からも気を付けよう。そういえばコバインクをヒールカウンターの部分にまで塗ってしまったことがあったけど、今回も面倒臭がって養生せずに実施。



インクが乾いたら完了。
傷やスレ跡が気になっていた部分はどうか見てみよう。




最も目に付く爪先分の擦れ、傷、ガビガビはあまり目立たないようにできたようだ。



バンプ内側の擦れ跡は多少マシになった。



カウンターの擦れ跡。あまり変わらないけど、目立ちにくくはなった。



クラックかもと見えた皺部分も乾いてクリーム入れたら落ち着いたのか、どこだったかあまりよくわからない。




作業時間は色々端折っているので小一時間。
久々に靴に触れ、じっくり観察し、色々思い出しながら手間を掛け、靴が徐々に綺麗になっていく様子を目の当たりにするのはやはり楽しい。ちょっと光りすぎな気もするけど、予想していたよりもマトモに見えるようになったので一層嬉しい。酷く履き倒してしまったのでもっとどうしようもないほどに傷んでいるかと思いきや、少し手を掛けるだけで見違えるようになった。

よく考えるとこの靴ももうすぐ8年目を迎える。靴に興味を持つ前に購入し、手持ちの新品購入の靴の中では2番目に古い靴。徐々に年季が入ってきてヤレた感じもあるにも関わらず、酷使してしまったのでどうなるか心配だったが、今回は靴のポテンシャルにおんぶに抱っこでなんとか事なきを得たようだ。ステアの塗装革を載せたゴム底だからか、随分タフだ。たまたまかもしれないけど。
表底、ヒール、スベリ革、半敷きの消耗破損具合からして、もうオールソールの時期だね。履き心地に直接的に悪影響のある半敷きだけを今交換しても、すぐオールソールだからまた交換しないといけなくなる。折を見て修理に出すとしますか。

これからは、手入れをしないという選択をしても、以前のように靴の状態に気を配りながらにしよう。今回のメンテ中、まるで知らない人の靴を手入れしているような、どこか覚えのある感覚に捉われた。そう、中古靴を落札し、経歴不明の汚れた靴をあれこれ想像しながら手探りでメンテしている、あの感覚。それほどこの一年半、この靴を履きながらこの靴に意識を向けていなかったということなのだろう。
一度この備忘録読み返して、自分が何を考え何を試し何を探していたのか、もう一度頭に入れて、これからどうするのかをよく考えながら、まずは傷んだ靴の手入れを少しづつ進めていこうと思う。

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