2020年7月17日金曜日

REGAL W54DBH ~買いました~


こういうのを衝動買いというのだろう。
スニーカーの底が割れたのをきっかけに靴に意識を向け始めて間もないのに、もう3足目の購入。しばらく靴への意識を封じ込めていた反動だね、きっと。うん、そうに違いない。



修理する靴を預けにリーガルシューズを訪れて、待っている間にセール品をチラチラ見てたら目に付いたこの靴。
2504がセールにかかるのか?看板品商品が廃盤になるのは一大事だなと思いながら手に取って見たらライニングが黒いから2504ではない。でも2504にそっくりな外見。私の知らぬ間に、またスピンオフバージョンが出ていたらしい。
自分の記憶をたどるとそういえばそういう靴があったような記憶がうっすらとある。02PRの購入を吟味していた時期と同じかもう少し前か。

セールに掛かっていても2504と同じような価格なのだけど、雨の日の主力が2足とも要修理状態の今、ゴム底の靴があった方がよいと思っていたので、取り敢えず足入れさせてもらった。

足入れさせてもらったサイズは25。セール品で25.5はもう売れてしまって再調達は難しいので、ワンサイズ勝負。まずは、2504のサイズ25に足入れさせてもらい感触を確かめる。このリーガル定番のサイズ25での私のフィッティング注意点はつま先、特に薬指近辺のアタリと余裕。
履かせてもらった2504では特に指回りは問題なそう、余裕はあまりないけれど、多少の自由度があり、長さもなんとか足りている感じ。屈曲させたりで足が少し前に出ることがあっても指があたらない程度の余裕はなんとかありそう。羽根の開き具合はやや狭いけれど、馴染んだら閉じ切るかもという程度。踵は大きくて深い。踝はがっつり直撃で痛い。
次にW54D。足入れの瞬間から足当たりの柔らかさに驚く、踵まで入れて立ってみると、踝当たらず、踵は小さくて気持ち良くフィット。カップインソールの効果絶大。踵が高くなったことで甲の開き具合も2504より良い感じで、何より甲の密着度が別次元。指回りは2504と同じような感覚で履けない程ではない。
足当たりの良さ、踝が当たらない、踵が少し食いつく感じ、甲の密着度もかなり良い。この時点では2504の木型の踵を少し小さく削った木型で作ったのだろうと思った。
10分程履いていると靴が温まり始め、甲革が更に柔らかくなり足への密着度が増していく感じ。ジョイント幅はタイトだけれど、これは他の靴でも大きな支障になっていないので履いている内に馴染むと思う。この靴の革は柔らかいので猶更。

他に気になる靴も足入れさせてもらったけど、履き心地はこの靴が一番よさげ。足に合うと思える靴には中々出会えないだけに、心の中で買わないという選択肢は消えつつある。問題は私がメンテナンスしきれない所謂ガラス革であること。
もう7年位、2504に使われているようなガラス革は履いていない。それは靴に興味を持ち始めて2足目の靴、25ARをジャストサイズで買って(今の感覚でいうとユル目)、馴染んだらブカブカになってしまい、毎週のように自分なりのお手入れをしていたけど、緩いことで履き皺が酷くなり、バンプ部分の皺から糸状の樹脂層が剥離してきた。これだけ手入れしてもこんな風になるのでは、私ではガラス革を維持できないと諦めて、いわゆるガラス革の靴は敬遠していたのだ。
いつかはリベンジしたいとの思いはずっと持っているが、この靴はそのリベンジにうってつけなのではないか。サイズもタイト目、甲の密着度も悪くないから、皺も25ARよりは控えめに入ってくれるのではないか。足に合っていそうで履きたいと思う靴だし、2504もいつかは履きたいから、2504買う前にガラス革のメンテノウハウを蓄積しておくのも悪くない、いや必要だ。

修理出しに行って買う予定は全くなかったものの、足に合うと思える靴に出会え、今回はセール品なので今買わないともう買えない可能性高く、ゴム底だから雨でも気にせず履けそうで、ついでにガラス革へのリベンジにも最適ということで、はい、お買い上げ。


いつもなら靴のスペック他、細々情報を載せていくのだけれど、今回この靴に関してはネットで全く情報が見当たらないので、画像で各部を紹介しながら2504との違いを説明していくことにする。



外見はほぼ2504そのまま、2504のデザインパターンそのもの(だと思う)。


踵もウエルトが巻かれている。2504よりちょっとアップグレード。
 

靴底は珍しいタイプのゴム底。ヒールもリーガルヒールではなく、最近の靴に多いパターンのヒール。2504のサビ底リーガルヒールの組み合わせに比べると、かなり軽くなっている。


ハーフカップインソールが入れられている。
このおかげで踵部分が少なくとも3・4mm程度上がるので、多くの人が苦しむ踝に履き口が刺さる状況はかなり改善される。
製造年は、あら、ここの表記も変わったのかな、おそらく今年の4月。



タン裏にスポンジが入り、前半分はコットンライニングから革ライニングにアップグレード。このライニングは床革なのかな、粗く起毛したとても足当たりの柔らかい革。
最初見た時には一瞬アンラインドかと思ってビックリした。




ライニングの色は肌色から黒に変更。カップインソールが入っているのに、リーガルのロゴが見えるのはいいね。ただ、現時点で廃盤だから、もしこの靴を長く履けて10年くらい後にオールソールした時に、このパーツが残っているかどうか、という不安はある。



ストームウエルトは、2589やW104などのような切りっぱなしのストームではなく、2504と同じく丸められたストーム。ストームって言わないか、ウエルトの盛り上がっている部分。全周巻いてある以外は2504と同じようだ。




甲革はガラス張り革。2504より薄めなのか柔らかい革。
2504は確かステアを使っていたはずだけど、これは薄めだからキップなのかな。素材の分類はともかく、リーガルに聞いた所では革自体2504に比べ薄め、樹脂層も薄めで柔らかく感じる。甲革の表面だけ見ている分には2504の甲革との違いはわからなかった。
ただ、薄い分、耐久性はどうなるか。


レースステイの縫製も2504と同じ。


リーガルに確認した情報では、2504と同じ木型を使い、2504愛用ユーザーへ新しい履き心地の提案、そしてデニムなどカジュアルで履く若年層へ苦痛になりにくいよう、履き心地にこだわって開発した製品とのこと。

確かに、2504でよく挙げられる、硬い、重い、踝他色々の痛い、が取り除かれていて、革靴に慣れ親しんでいない人でも、とっつきやすい靴だと思う。私も、一時革靴に慣れ親しんだものの、しばらく離れていたせいか、2504ではなく、2504っぽい見た目の履きやすいこの靴を選んだ。リーガル好きの人からしたら軟弱者と思われそうな気がしないでもない(笑)。プレーントウが妙に好みになっているのも少し背中を押したかな。

それにしても、インソールの効果に驚いた。店員さんは木型が2504と同じかどうかまではわからなくて、自分ではあまりにも踵にフィットするので違う木型だろうと思っていたのだが、確認してみたら同じ木型。同じ木型でも足の位置が数ミリ変わるだけでこれだけ履き心地に変化があるとは、かなりの衝撃。同時に試し履きさせてもらった2504の踵はこのW54Dの踵部分の履き口に比べると、あまりすぼまっていないように見えたので、制作時の違いというのも多少はあるのかもしれないけれど、今まで靴を脱いだ時の見映えなどからなんとなく敬遠していたインソール、これからは改めて見直してみようと思う。

2504や2235といったロングセラーで知名度のある商品は、この靴のように時折リファインしたモデルがリリースされる。確か2235も801Rという木型もデザインも一緒だけど、ディテールを少し変えたモデルがあったはず。この靴もだけれど、定番の惜しい所を改善したモデルだから、定番にとって変わって新たな定番となってよい、なってしかるべきと思うのだけど、なぜか根付かずに泡のように消えていってしまう。
リリースする側に新たな定番にしようという意思がないのかもしれないけれど、それにしても改善されてより良くなったはずの靴がラインナップに残れないというのは不思議だなと。リファインしたモデルは少なくとも5・6年は継続して販売しないと本当の評価は難しいと思うけれど、そこからまた問題点を改善していけば、様々な変化に対応していけると思うのだが、そうでもないのだろうか。

今まで半世紀に渡り、同じ部材同じ製法でやってきたものを変えるというのはイメージが大きく変わってしまうリスクがあるだけに、定番の改良や置き換えはちょっとやそっとではできなさそうというのもありそうだし、良い靴だから売れるという訳でもないということの証明にもなっているのかも。ここら辺り、定番を元に改良を施した靴が、元の定番よりも売れない理由をもう少し深堀していくと、継続的に売れ続ける靴に重要な要素がより鮮明に見えてくるかもしれない。

2504ではないから、2504を履いているという高揚感は得られないけれど、2504をリファインしたモデルの履き心地をとっくりと味わっていこうと思う。








2 件のコメント:

  1. 前回の記事で2504かと思いきや,です。
    エピソードを読んでいると,いっそのこと2504Ⅱとか銘打って推せばいいのになんて思ってしまいます。
    リーガルって,毎シーズン沢山の新商品を出して同じくらい廃番にしていく,革靴メーカーとしては珍しいスタイルですよね。型番の法則性もよく分かりませんし…
    いっそのこと「定番とか世評なんて気にせず,そのとき足に合って気に入ったものを履けば良いのさ~」なんて気楽さも,ありなのかもしれませんね。

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    1. さかぐちさん
      コメントありがとうございます。
      2504Ⅱ、いいネーミングですね!

      本当にもう少し押し出しを強くしたらと思います。私のアンテナ感度が悪かったのかもしれませんが…w。

      Slackでも言いましたけど、大量の新商品の中には新木型があったり、木型使い回しでも型紙が新しかったり、この靴のようにファインチューニングされていたりするものもあるので、足に合う靴にめぐり会えるチャンスと捉えるようにしています。
      ただ、出会えるチャンスが多い分、めまぐるしいので時間が経過した時に、同じ部材を使用しての修理が出来るかについては不安がつきまといますね。

      四桁品番から二桁或いは三桁の数字プラスRで終わる品番、そして二桁の数字プラスリリース季節順にA~Zのアルファベット、最後にRで終わる現在の品番体系とリーガルシューズ専売品のW始まり品番。これだけ色々品番が在りながら、定番は四桁品番が多くて、それ以降の品番体系のものは定番には少ないですよね。最近は四桁品番の終売が続いているのでそうでもなくなって来たかもですが、、

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